TABIのいない朝

看護セット
TABI用看護セット

  1. 「いない」ということ

  2. アジ仲間

  3. TABIファンのみなさん

  4. ぼくの好きなセンセイ

  5. 支えてくれる人々

paw1.gif (869 bytes)「いない」ということ

TABIレスになってしまった私達夫婦。

亡くなった日の夜、 私達は医師から処方された気分の落ち着く薬を飲んで就寝しました。普段はあまり薬類を飲まないのですが、こうしたときには体をいたわる意味でも必要だと思います。おかげで、何か月ぶりで私達は続けて7時間ほど眠ることができました。もうTABIのお薬の時間を気にすることはないし、 夜中に何度も起こされることもない。 前はお風呂に入っていても、「もしかしてあの子は泣いてるんじゃ?」と気になってゆっくりできなかったのですが、今は好きなだけゆっくりできる。山のような洗濯も、ぐっと減った。安堵感はあるものの、 あの子がいない寂しさは耐え難いものです。

外の通りを見れば、出勤前の人々が愛犬を連れて散歩しています。「うちの子は死んじゃったのに、世界は何事もなかったかのように動いているんだ」と思って悲しくなりました。前日の出来事が、シュールな夢のように感じてなりませんでした。

以前アメリカに住んでいた時、お世話になったアジリティの審判が愛犬を病気で亡くし、自作の詩を送ってくれたことがありました。

「朝目覚ましが鳴り 『あの子の薬の時間だ』と飛び起きる
ああ そうか あの子はもう いないんだっけ」

で始まる詩を読んで、涙が出たことを思い出します。「たかが犬じゃないか」という人は多いですが、愛犬を家族のようにかわいがっていた人にとって、いつも犬がいた場所が空っぽなのを確認することほど辛いものはありません。長年にわたり愛犬の看護や介護をしてきた人も、「大変だったけど、大変だった日々さえなつかしい」と言います。

TABI日記にTABIの訃報を載せたところ、まっさきに日本のアーリーさんからメッセージをいただきました。アーリーさんとは、私がウェブサイトを立ち上げたころからのお友達。アーリーさんの色白美人ラブ、アイシャちゃんは、二年 半前にお星様になりました。その後もアーリーさんはTABIのことをずっと見守ってくださり、今回もやさしい言葉をかけていただきました。アーリーさんに「辛いです」と正直な気持ちを書き送ったところ、「『存在がない』ことは本当に大きいですよね」と言っていただきました。

本当に、本当にそうだと思います。
今まで周囲で愛犬を亡くした人々の悲しみをたくさん見てきたけれども、これほど「いない」ということが辛いとは実際に自分で経験するまでは理解できていませんでした。

paw1.gif (869 bytes)アジ仲間

TABIがお空に昇った翌日、TABIパパは泣きながらアメリカ・カナダの犬友達に一斉にメッセージを送りました。すると、アジリティ仲間を中心に瞬時にして20以上のメッセージが帰ってきて、あらためてインターネットってすごいと思いました。TABIの一番最初のアジリティ・トレーナーからは、
「あの子は幸せだったんだよ。大好きなあなたたち二人と、大好きなアジリティを楽しんで、とっても長生きしたんだもの」
というメッセージをもらい、次のアジリティ競技会でTABIの訃報をみんなに知らせてくれることになりました。

TABIの母犬KIWIの元飼い主からは、
「ついこないだ私達夫婦は『TABIはあの二人にもらわれて、本当に幸せで長生きだね』って話してたとこなのよ。今ごろあの子は先だった兄弟犬たちとあの世で遊びながら、『ぼくはパパとママに大事にされて、とってもラッキーだったんだよ』って話してるに違いないわ」
と、彼らの「孫息子」の旅立ちを心から悲しんでくれました。

私達夫婦は、一緒に泣きながらひとつひとつメッセージを読みました。

paw1.gif (869 bytes)TABIファンのみなさん

日記に訃報を載せたところ、読者のみなさんから続々とメッセージが届きました。私がウェブサイトを立ち上げた初期のころから見ていただいている方々もいれば、最近検索でたどり着いて以来よくブログを見に来てくださる方、メッセージを送るのは今回が初めてという方などいろいろ。みなさん一様にTABIの急な旅立ちに驚いている様子で、お悔やみをいただきました。TABIがこんなにたくさんの方々から応援されていたのだと知り、私は驚くと同時にとてもうれしくなりました。うちのサイトは初期のころからレイアウトも内容も変わっておらず、いまどきの閲覧用に改善していないし、ヒット数を上げるような工夫も一切していないので、そんなにファンが存在するとは想像していなかったのです。もっと真面目にサイトの記事を更新すべきだったな、とちょっと反省しました。

「うちの子が子犬時代からずっと楽しみに拝見しておりました」「食事・しつけ・看病のことなど、 色々と参考にさせていただきました」「私の犬育ては、TABI君&TABIママがお手本でした」などなど、このサイトの情報がなんらかの形でみなさんのお役に立てたということがわかり、とてもうれしいです。なによりカナダの小さい町で名もない母犬から生まれた雑種犬が、遠く離れた日本でこんなにもかわいがられてきたということは、本当にありがたいことだと思います。

お一人、お一人にお返事をするのに時間がかかりますが、全てありがたく拝見しています。本当に、ありがとうございました。

paw1.gif (869 bytes)ぼくの好きなセンセイ

ある日買い物から帰ると、玄関先にミニ薔薇の鉢植えが。「あなたたちのことを思ってますよという」カードが添えられていて、なんとTABIの獣医さんからでした。花屋さんからの配達ではないので、先生はわざわざご自分でそっと届けてくれた様子です。

薔薇

Dr. BはTABIが12歳の時から診ていただきました。これまで転勤でいろいろな獣医さんにかかり、どの先生にもかわいがっていただきましたが、この先生にもTABIはとてもなついていました。今年三月初めに肩に腫瘍が見つかり、余命はもっても三週間だと言われた時、私達は最後は先生にTABIを送っていただきたいとお願いしました。が、あいにく先生はその翌日から一か月の長期休暇の予定があり、職場復帰は四月に入ってからとのこと。「そんな先までこの子はもたない と思うから」と先生は言って、病院の他の先生にいざという時の申し送りをしていただいてました。私達も緩和ケアを続けながら覚悟をしていたのですが、TABIは四月の半ば過ぎまでがんばってくれました。大好きな先生を、TABIは待っていたのかもしれません。最後にこの先生に送っていただいて、良かったと思います。

先生にお礼のカードを送ろうということになり、お店で Thank You カードの棚を物色してたところ、TABIパパが「これ、ピッタリだよ!」と私に見せたのは。。。

カード カードの中

TABIのトレードマーク、スーパーヒーローのロゴが入ったカード!これほどドンピシャなカードがありえるんでしょうか。たまたま入ったお店ですぐ見つけるなんて、なんて偶然。もちろんこれを買ってTABIの写真を貼り、先生に送りました。

paw1.gif (869 bytes)支えてくれる人々

日本にいる私の年上の友人は、「時間がたつまで、たくさん泣いていいんだよ」と励ましてくれました。彼女は一人っ子の私にとって姉のような存在で、ずっと私達を応援してくれています。

TABIパパは、安楽死の日を含めて週末まで続けて有休をとって家にいました。「私は大丈夫だから」と言ったのですが、「出勤しても仕事にならないから」と言ってサッサと上司にメールしてしまいました。実際に、彼の悲しみは私の想像以上に大きかったようです。人前もはばからず、泣いていました。翌週の月曜日に出勤し、帰宅した彼が私に「みんなからもらったよ」と封筒を渡しました。中を開けると、かわいい犬の足跡が夜空に昇っていくイラストのカード。彼の職場のみんなの、お悔やみと励ましの言葉がびっしり書いてありました。

「たかが犬のことぐらいで休むなんて」と陰口たたかれてんだろうな、と私は勝手に想像してたのですが、とんでもない!みんなペットを飼っており、過去に愛犬を亡くした経験をもつ人もいっぱいいて、「その気持ち、よくわかるよ」と支えてくれたのでした。TABIや私に一度も会ったことのない人々も、書いてくれました。私は、ひとつひとつメッセージを読みながらありがたくて涙がこぼれました。

そのほかにも、以前お隣に住んでいた犬好きの奥さんや、TABIの往診専門の獣医さんなど、いろいろな人からカードが届いてまるでクリスマス時期のように暖炉のディスプレイが賑やか。とてもビックリしたと同時に、とてもありがたかったです。

カードたくさん

この経験から痛感したのは、もし知り合いが愛犬を亡くしたら、大げさなことはしなくてもいいから「気持ち、わかるよ」「あなたのことを思っているよ」と支えてあげることが大事だってこと。悲しみが癒えるには時間がかかるけど、自分は一人じゃないんだ、わかってくれる人々がいるんだ。。。と自覚することでペットロスを克服する助けになると思います。

ポエム
どうか 思いつめないで
まるで私が すぐそばにいるかのように
泣かずに 笑いながら 私の思い出を 語ってください
あなたのことが 大好きでした
あなたと一緒の日々は この世の楽園でした

"To Those I Love"  by Isla Paschal Richardson (TABIママ訳)

(2017年4月30日)

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