海辺の一日
(2000年9月14日)
ウェストポイント |
今日は快晴。
朝10時に宿を出発、ウェストポイントにある灯台を目指す。
昨日と逆に、ルート2に出、そこからレディスリッパードライブにのって西へ。PEIの最も西にある灯台は、州立公園内にある。この灯台は現在も実際に使われているだけでなく、内部にホテルとレストランがある。ここに泊まれば、海を眺め波の音を聞ながらやすむことができる。
TABIをつれて、美しい砂浜を散歩。海の向こうに見える島影は、ニューブランズウィックか?
黄ラブを連れた学生風の女の子と会う。TABIはいつもの「あそぼー」ダンスを始めるが、ラブはちょっと興奮気味。一緒に海岸を走れたら良かったのに、残念。女の子が、カーゴパンツの中にじゃらじゃらしたものを入れているので、何なのか聞いてみる。
「これ?これは、sea glass よ」
コインくらいの大きさの、白・青・緑さまざまな色の半透明のガラス。こわれたガラスのかけらが、海の水で長年洗われてなめらかになり、海岸に打ち上げられたものだそうだ。彼女は散歩しながら拾い集めていたが、おみやげ物屋ではけっこうな値段で売られている。
車に戻り、いざ発車しようとしたら、エンジンがかからない!どうもスターターの調子が悪いようだ。TABIパパは、
「そんなはずあるか。ついこの間、新しいのを買ってつけたばかりだぞ」
と言うが、新しい部品がいきなり故障(
または、始めから不良品を売りつけられる)というのはよくあることだ。(実際、旅行のあとでスターターが原因と判明、買った店に返品した)パパは、トヨタのリペアマニュアルを取り出し、あちこち点検。結局、車を押してジャンプスタートすることに。
「手をかそうか?」
と言ってくれた観光客があらわれ、押してもらってようやくエンジンがかかった。これで30分は時間をくってしまった。
ポテト博物館 |
ウェストポイントを出て、レディスリッパードライブを北へ向かい、ルート42を東へまっすぐ。オレリーという小さな町へ。
「やっとかかったエンジンだから、目的地に着くまで停めないで行こう」
と、銀行でお金をおろすときもエンジンをかけたまま。
時間の止まったような田舎町のメインストリートを走っていくと、やっと"Potato Museum"と書いた小さ〜い看板が。パークビュードライブに入り、さらにヘリテージレインへ折れると、左手に大きなじゃがいものモニュメントが見える。
PEIといえば、じゃがいも。確かにこの島は、右も左もイモ畑だ。海に囲まれた小さな島という環境が幸いして、病害虫の伝染を被ることが少なく、海洋性気候と独特の赤土がイモの生育に適している。PEIで育てられた種芋は、アメリカ、日本を始め世界中へ輸出されている。もちろん、食用のじゃがいもの生産量も国内トップクラスだ。スーパーでPEIポテトを見ない日はない。
南米で原住民の主食だったじゃがいもが、どうやって世界中に広まったのか?イモにはどんな種類があるのか?バイオテクノロジーを駆使して実現したスーパーポテトとは?博物館の中には、そんな疑問に答える展示物がたくさん。
メールで確認したときには「犬OK」の返事をもらったのだが、いざ行ってみると、建物の中にはカフェテリアがあるので、食品衛生上ペットは入れないと受付で言われる。しかたなくTABIを、外庭の大木の木陰につなぐことにする。受付のお姉さんは、冷たい水をいれた入れ物をTABIにもってきてくれた。
展示物は意外とおもしろく、「イモ害虫をやっつけろ」というコンピュータゲームまである。あっという間に時間がたってしまい、もうおやつの時間なのにお昼も食べていない。いったん博物館を出て、TABIにエサをやり、お散歩させてからまた屋内にもどってカフェテリアで一休みすることにする。
カフェには、当然のようにじゃがいもを利用した食べ物がズラリ。サンドイッチ、スープ、サラダ、ホットドッグなどから、タルト、タフィー、パイ、クッキーなどデザートもイモづくし。デザートを全部試食したが、
「これがイモ?」
というくらい、イメージより美味しい。サンドイッチとコーヒーでお昼にし、タルトを2ダース買っておみやげにする。
Potato Museum
アイリッシュモス・インタープリティブセンター |
オレリーを出て、ルート142を東へ。ルート2にのる。北上してルート145を西に向かい、再びレディスリッパードライブに入って北東にひた走る。
ミミナガシュという小さな漁村では、アイリッシュモスという海草がとれる。馬を使って昔ながらの方法で海岸に集められたアイリッシュモスは、トラクターで陸に運ばれ、天日乾燥される。その後、精製してカラギーナンという物質をとる。これは、ものを固める役目をするので、アイスクリーム、ゼリー、チョコレートなどの食品や、クリーム・乳液などの化粧品、糊など様々な製品に添加される。
そうした海草漁の様子などをビデオや写真で展示しているのが、このセンターだ。うっかり見過ごしてしまいそうな小さい建物なので、TABIパパは
「こんなシケたとこ、パスしよう」
と渋った。でもTABIママは、どーしてもどーしても、ここのカフェで
seaweed pie が食べてみたかったのだ!
海草で作るパイって、どんなだろう?ヒジキの煮物みたいのが入っているのかしら?といろいろ想像したが、一見したところ普通のショートケーキ。聞いてみたら、スポンジ台の上のムースにアイリッシュモスが使われているという。食べてみると、クリーミーでまろやか。ババロアのやわらかめといったかんじ。車の中でおとなしくお留守番していたTABIにも、ちょっとおすそわけ。
Irish Moss Interpretive Centre
Rte.14 Lady Sipper Dr., Miminegash
882-4313
open: 11:00-19:00
ノースケープ |
PEI最北端の灯台のある、ノースケープへ。レディスリッパードライブからルート12に出て、北に上るとつきあたりがノースケープだ。
1866年に建てられた灯台のもとには、美しい岩礁が広がる。またここには風力発電の試験場があり、様々な形のタービンが風にのってくるくる回るのを見ることができる。
ここで忘れてならないのは、観光案内所で黄色いリボンをもらってくること。このリボンを持ってイーストポイントの灯台を訪れると、島の端から端まで旅をしたあかしとして証明書がもらえるのだ。
TABIをつれて海岸を散歩。波に洗われたきれいな石を拾う。Elephant Rock という、象の形をした岩があると聞いていたのだが、残念なことに2年前に波が壊してしまい、鼻の部分がもぎれてしまったそうだ。
レッドアイランドB&B |
ノースケープを出るころはすでに日暮れ。
ルート12を下ってルート2にのり、ひたすら走る。外はだんだん暗くなる。TABIママもTABIパパも、一日の疲れでぐったりだ。いつも買い物の時は後部シートで眠ってしまうTABIだが、今回は慣れない場所に来ているせいか眠るまいと努めているようだ。バックミラーで見ると舟をこいでいるものの、振動があるとハッと目を覚まし、ママ・パパがいるのを確かめる。子犬ながら緊張しているのだろう。
キングストンでルート6にのり、東へ東へと走る。ブラックレービーチに入るころには、すでに夜もとっぷりと暮れてきた。B&Bのウェブサイトからプリントした道順によると、宿はルート6上の、ルート7と15の間にある。左手に大きな看板がライトに照らされて見えた。ここだ。
ここは、ドッグトレーナーでもある若い夫婦が経営している。彼らは4頭のボーダーコリー(97年フライボール世界チャンピオン)を飼っており、もちろん犬連れ宿泊OK。
昨年改築したばかり。部屋はそれぞれテーマがあり、私たちの部屋は「ナチュラリストの部屋」。グリーンで統一されたファブリック、壁にはカナダの野生動物の絵。部屋の中にトイレとシャワー、洗面台があり、B&Bには珍しくルームキーもある。電話、テレビにビデオ、「タイタニック」などの映画のテープもあり、そのへんのホテルより設備がいい。TABIのクレートを持ちこむとちょっと狭くなるが、狭い東京で育ったTABIママには全く苦にならない。
車からスーツケースを出して運んできたパパが
「外にボーダーコリーが1頭いたよ」
と言う。とても人懐こくてかわいいそうだ。早く見たいな。
Red Island B&B
ハーブガーデンレストラン |
TABIにエサを食べさせてから、今夜の夕食をとる予定のレストランに電話。予約必須のところだが、何時に到着できるかわからなかったので予約を入れていなかった。
ママ「今日は何時まで開いていますか」
店「8時半です」
ママ「(わっ、今8時10分!)ブラックレービーチにいるんですけど、ちょっと間に合わないですよね・・・」
店「大丈夫、待っててあげるから、いらっしゃい」
あわてて車に飛び乗り,レストランを目指す。TABIは部屋に残すとまた泣き始めるかもしれないので、連れて行くことにした。
地図によれば、レストランのあるニューグラスゴーまで20分の距離だ。ルート6からオイスターベッドで251に折れ、ウィートリバーで224にのる・・・はずなのだが、またも田舎道の謎に遭遇。気がつくとルート13を走っていた。一体どこへ向かっているのかわからないまま走っていたら、「ハーブガーデンレストランはこちら」の看板が。とりあえずそれに従って道を曲がる。
木々に囲まれたログキャビンが見えてきた。駐車場には客の車が数台。私たちだけじゃないんだ、良かった。TABIを車に残して店内へ。
ハーブガーデンは、"Where to eat in Canada" で一つ星をもらっている。シェフの家族が育てたオーガニック野菜と地元の新鮮なシーフード料理が自慢。
「電話くださった方ね、さ、どうぞ」
ドイツ語なまりの恰幅のいい女将さんが席に案内してくれる。山荘風の店内、テーブルにはワイルドフラワー。メニューから察するに、この家族はオーストリア系らしい。流れる音楽もモーツアルトだ。
全粒粉の自家製パンとハーブバターが美味。ここでも懲りずにおかわりしてしまう。TABIママ・パパは "Catch of the day" (日替わり魚料理)を注文。今日は、とれとれのホタテ。ぷっくりしたホタテが、ハーブクリームソースでからめてある。どうやったらこんなにやわらかく調理できるのか?火は通っているのだが、まるで生のホタテのように柔らかく、ジューシーで甘い。添えてあるじゃがいももサラダの野菜も全て、畑からとってきたばかりのもの。ハーブが風味を引きたてている。
あんなに空腹だったのに、メインが終わるころはおなかが一杯に。デザートケースの中のパイやケーキが「私を食べて」とささやくのだが、とても無理。
ここでは養蜂もしているとかで、蜂蜜を売っている。花によってフレーバーが違うのだそうだ。ママは白ツメ草の蜂蜜を購入。精製していないので、白濁している。(旅行から帰って、焼きたてのスコーンに塗って食べたら、すっごく美味しかった)
あわただしかったが、来たかいが大いにあったと満足して店を出る。お留守番のTABIに、自家製パンのおみやげ。
Herb Garden Restaurant
Rte.224 New Glasgow
621-0765
(2001年に閉店しました)
(2000年12月6日)
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