島へ
(2000年9月13日)

  1. 出発
  2. ブリッジ
  3. ビジターインフォメーション
  4. シーズンインタイム
  5. パダーノアウトレット
  6. ボトルハウス
  7. ドクターズイン
  8. カントリーディナー
paw3.gif (869 bytes) 出発

いざ出かけるというときになって、TABIパパが
「おれの財布がない」
と言い出し、家中を引っ掻き回すハメに。結局、パパの職場のデスクの上に置き忘れていたことがわかり、取りに行く。そんなこんなで予定時刻を1時間以上もオーバーして、朝10時に出発。ママはパパに
「アルツハイマーの初期かもよ。旅行から帰ったら医者に行きなさい」
と指示。

pawコンフェデレーションブリッジ

家を出たときは晴れていたのに、ニューブランズウィック州に入るころから雲行きがあやしくなり、雨がポツポツ。PEIへ渡る橋、コンフェデレーションブリッジが、霞のむこうに見えてきた。なんと、工事中のため交通規制。のろのろ運転で行かなければならない。

数年前に開通したこの橋は、全長13q。渡るのに12分かかるといわれている。PEIへ渡るのはタダだが、島を去るときに料金を払う。料金は(2000年9月現在)、乗用車$36.25、バイク$14.50、トラック・トレーラー$51.75、バス$207.25、RV$41.50。

橋の両脇はコンクリの高い塀なので、車からは外の景色が全然見えない。なんだか屋根のないトンネルを走る気分だ。橋のむこうに、この島特有の赤い土におおわれた大地が見えてきた。いよいよPEIだ。

パパはママに、PEIの地図をポンと投げて言った。
「お前が計画した旅なんだから、お前がナビゲーターになれよ。おれはお前の言うとおりに走るから、道に迷ったらお前の責任だぞ」
ゲッ、これは責任重大。早速、橋からすぐのところにあるビジターインフォメーションセンターに入り、くわしい地図とパンフをもらうことにする。

pawビジターインフォメーション

センターの駐車場には、シーズンオフでしかも悪天候というのにけっこう車が停まっていた。ナンバーを見ると、オンタリオ、メリーランド、ケベックと様々だ。センターの中でパンフを物色するツーリストを観察すると、みなシニア(定年退職した人々)ばかり。そりゃそうだ。9月は学校が始まるから、子連れ家族は旅行しているわけがない。

地図をもらってじっくりと見る。
非常にわかりやすく、正確な地図だ。高速もランクによって色分けされている。トランスカナダハイウェイと、ファーストクラスハイウェイは、比較的まっすぐで大きな市をダイレクトに結んでいるようだ。速度制限も100qだから、どんどん飛ばせる(たいていみんな、120〜140くらい出す・・・けど読者の皆さんは安全運転してくださいね)。セカンダリーハイウェイは、海岸沿いの景色を堪能しながら走るにはいいかもしれない。が、道のメンテが悪いし、ごちゃごちゃいりくんでわかりにくそうだし、しかもあまり飛ばせない。その他のローカルロードは、舗装されていないし、牛が通ったりして邪魔だ。今回は子犬連れなので、時間を短縮するためにもなるべくトランスカナダとファーストクラスを飛ばしていくルートにすることに決めた。

pawシーズンインタイム

時計を見ると、もう午後の1時過ぎ。朝から何も食べていない。

ルートAからウォーターストリートに入り、お目当てのレストラン、シーズンインタイムへ。外はどしゃぶり。TABIを歩かせるのはやめ、水をちょっと飲ませて車の中でお留守番させる。

ここは"Where to eat in Canada"で三ツ星をもらったレストラン。シェフは世界中でいろいろな賞を受賞しており、料理の本も執筆している。地元のオーガニック野菜をふんだんに使ったメニューでも有名。予約を入れてないが、ランチでしかもこの時間、天候なので大丈夫だろう。

店内には、ゴルフをやりに来た風の裕福そうなシニアがいっぱい。事前に調べた限りではカジュアルドレスコードのはずだが、私たちのようなジーパン組はいなかった。

seasons in thyme

ランチメニューから、シーザーサラダとフェトチーネ・ロブスターソースを注文。前菜とともにモラセス入りの自家製パンが運ばれてきた。これが美味!パンのおかわりをたのみ、大きい一切れをティッシュにくるんでTABIへのおみやげに。

あつあつのフェトチーネが、あつあつの皿に盛られて目の前に。ウェイトレスは、ピンとした白い手袋をはめてサービスする。パスタのゆでぐあいも、ソースの味加減も抜群。しかも、こういうお気どりレストランにはまれなことに、量が多い。底無し胃袋の異名をもつパパ・ママだが、さすがに満腹。デザートはパス。

食事代・タックス・チップを含めて$29.00.意外に安くてビックリ。レセプションエリアでは、このレストランで出しているサラダドレッシングなどがお土産用に売られている。次回はディナーに来たいものだ。

Season In Thyme
644 Water St., East, Summerside
888-DINE
(2001年に閉店しました)

pawパダーノ・ファクトリーアウトレット

ガソリンスタンドで満タンにしてから(この島はガソリンが安い)、ウォーターストリートをひた走り、ウォーターフロントプレース・ショッピングセンターへ。

お目当ては、パダーノ製品のお店。パダーノは、カナダで唯一のキッチン用品(ステンレス鍋)のメーカーで、ここPEIで1977年に設立されて以来、プロのシェフなどに愛用されている。エアフォースワン(アメリカ大統領専用機)のキッチンで使われているのも、このパダーノだ。

TABIママは料理大好きなので、キッチン用品にはけっこううるさい。たいていプロのシェフが買いに行くお店で購入する。高いが、一生持つ。ヘンケル、ラゴスティーナと並んで、このパダーノも長年使っているが、丈夫で使いやすい。

店では、「セカンド」と呼ばれる、いわゆる「キズモノ」が廉価で売られている。キズモノといっても、ちょっと見ただけではどこが傷なのかさっぱりわからない。ママが手に取ったミルクパンも、お店のお姉さんに見てもらってやっと内部に小さなエクボのようなへこみがあることがわかった。でも使用には全くさしつかえない。それで定価$80から$20まで値下げだ!セカンドは保証がつかないが、これくらいの鍋なら買っておいて損はない。早速ゲット。

お店のお姉さんが、
「シャーロットタウンにある本社工場では、工場見学ができるのよ」
と教えてくれた。今回は実現しなかったが、次回は行ってみたい。

Paderno Factory Store
Waterfront Place, Summerside
436-2799

pawボトルハウス

dog

海岸沿いのルート11を走り、キャップエグモントへ。
ここには、「ボトルハウス」と呼ばれる、25,000本以上の空き瓶を利用した建物があるのだ。

海を見下ろす高台、広々とした芝生と美しい庭園が、霧雨の向こうに見える。TABIをリードにつけて庭園内を散策。三つのボトルハウスが、花々に囲まれてひっそりと建っている。
お天気が悪いのが残念。晴天ならば、陽の光がガラスに反射して、さぞきれいだろう。

bottle house

中に入ると、外からガラスを通して差し込む光が床を照らし、まるで七色に奏でる音楽のなかを歩くようだ。

灯台の見える草原で、TABIを離す。雨に濡れた芝の上を思いきり走るTABI。車のなかは窮屈だったろう。リラックスしたのか、ウンチをもりもり。ウンチ袋で始末する。

Bottle House
Rte. 11, Cap-Egmont
854-2987

pawドクターズ・イン

dog

ボトルハウスを出て、今夜の宿のあるタインバレーを目指す。

ルート11からセカンダリーハイウェイを経由して、ルート2へ出たかったのだが、どうもわかりにくい。このあたりは田舎道ばかりで、一つ間違えるととんでもないところへ出てしまう。道を聞こうにも、右はイモ畑、左は牛の群れ。ガタガタ道をもとのところへ戻るしかない。一応ここも観光ルートなのに、道路のサインがあまりにも不親切だ。すぐ近くの州から来た私たちでさえ迷うのだから、海外から来た観光客は苦労するのではないか。

さんざん苦労してやっとルート2へ出たので、そのまままっすぐ走ってルート133に入る。ルート133を東に向かい、ルート167にぶつかったら、そこからタインバレーに向かっておりていく。この方法はうまくいった。

B&Bに到着したのは、予定を大幅に過ぎた午後5時半。Jeanとチャウチャウ・ミックス、そして猫ちゃんが迎えてくれた。TABIは早速、チャウに「あそぼー、あそぼー」ダンスを見せる。が、この家の主人Paulが留守なので、チャウは「うー」とうなって番犬としての役目を忘れない。

chow

ここは、1860年代に建てられたカントリーハウス。長いすそのドレスを着た女性が出てきてもおかしくないような、クラシックなこしらえだ。大きな暖炉のあるリビング、壁のあちこちにアンティークの絵が飾られている。よく磨かれた階段の手すりや床。古いが、大事に手入れされた家だ。

宿の名前、"The Doctor's Inn"は、もちろん "The Doctor Is In"をもじったものだ。

paul & Jean
宿のオーナー、PaulとJean

案内されたは部屋は、バラ模様の壁紙、ローズ色のベッドリネンと、ロマンチックなトーンで統一されている。椅子には手編みのひざかけ。
「ピカピカのホテルじゃなきゃいや」
という人にはすすめられないが、「赤毛のアン」系統が好きな人にはうってつけだ。

パパが荷物を運び、クレートを組み立てている間に、ママはTABIを連れてバックヤードを散策。ここで育てているオーガニック野菜・ハーブの畑や、ニワトリ、ウサギを見てまわる。

The Doctor's Inn
Rte. 167, Tyne Valley
831-3057

pawカントリーディナー

この宿では、事前に予約をすると夕食をサーブしてくれる。ここも、"Where to eat in Canada"で一つ星をもらっている。とれとれのオーガニック野菜とハーブをふんだんに使ったディナーと、宿泊客用の朝食が有名だ。

TABIを部屋のクレートに残し、階下のカントリー風ダイニングへ。私たち二人と、もう一人のお客、Sharon。彼女はアメリカ人で、ミネアポリスから一人で来てカナダを旅行中だそうだ。大学院生の娘がいるとか。

ワインに始まり、給仕をつとめるPaulをまじえてのなごやかな会話とともにゆったりとしたディナーを楽しむ。何種類ものオーガニック野菜とエディブルフラワー、ハーブのサラダの新鮮なこと!フォークよりも手でつまんで食べるのにぴったりだ。

階上から、TABIの泣き声が聞こえてくる。知らない場所で一人にされて不安なのだろう。
「パパ、ママ、どこ?」
と言っている。しかたなく、ママが席を離れて様子を見に行く。困惑した顔のTABIをなだめ、ダイニングに戻る。ちいさく泣く声が聞こえたが、すぐ止んだ。疲れて眠ってしまったらしい。
こういうのは他のお客に迷惑だ。次回からはこんなことがないよう、しつけなければならない。

さて、メインは新鮮なアトランティック・サーモンのオーブン焼き。その身のジューシーなこと!サーモンも、全粒粉のパンも、キッチンにある薪ストーブで調理したものだ。デザートは、ブルーベリーのクレープ。
Sharonが、
「この旅行中で、一番美味しい食事だったわ。もっと食べたいのに、おなか一杯でこれ以上入らない。くやしい!」
と笑う。そしてTABIママに向かい、
「あなたそんなに細いのに、どこに入るの?」
と聞く。ママは、
「実は私も知りたいのよ。私の胃袋にはブラックホールがあるのかも」
と答えるも、実はジーパンがきつい。

食後のコーヒーが終わるころには、旅の疲れと満腹で眼の皮がたるんできた。部屋に戻ったらバタンキュー。

(2000年12月6日)

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