Downさせよう

軍隊の新兵訓練では、何かというと腕立て伏せを何十回とさせる。学生時代、体育会系部活に入ったことのある人は、新入生のとき先輩から腕立て伏せ何十回をやらされた経験があるだろう。

なぜ腕立て伏せなのか?筋力をつけるだけが目的なら、けん垂だっていいではないか。

これは、地面にひれ伏し、上から見下ろされるという状態が、相手に対する全面的服従を象徴するからである。

軍隊や体育会系部活など、上下関係がハッキリしているところでは、これは欠かせないイニシエーションなのだ。上官または先輩の前で地面に伏せることを通し、あなたは自分が低いランクにあることを充分自覚し、相手に優位性を与えるのである。

down犬にとっては、 "Down" が腕立て伏せにあたる。前後肢、さらに腹が地面についた状態では、相手を攻撃できない。たいへん不利なポーズだ。これをさせられるということで、犬は自分が飼い主のコントロール下にあることを自覚する。

"Down" コマンドに従うかどうかを見ると、犬の性格や飼い主への信頼度が明らかにわかる。もともと支配的な性格の犬や、わがまま放題に育てられ飼い主をなめている犬は、 "Down" をやりたがらない。そればかりか、無理にやらせようとすると、飼い主を噛んで攻撃することもあり、危険だ。

「わがままな犬には "Down" を1日50回させろ」
と言われる。

これは別に、腕立て伏せのように1,2,3…と繰り返せということではない。1日のうち何度も、ことあるごとに、例えば散歩の途中に信号待ちで "Down" 、角で止まって "Down" 、玄関の前で "Down" というように、頻繁にコマンドを与えろということだ。

飼い主をなめている犬は、聞こえないふりをして従わなかったりする。
「やっぱりダメ、覚えてくれないや」
とあきらめては、犬の思うツボ。

一度指示を与えたら絶対に遂行させる。これを徹底すれば、犬は必ずいつの日か、別犬のようにきびきびとコマンドに反応するようになるはずだ。

(2001年2月27日)

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