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「子犬あげます」
「子犬あげます」「子犬売ります」
の広告は、コミュニティ・ボードやインターネットのニューズ・グループなど、いたるところで見かける。
飼っている犬が子犬を生んで、里親を探している人は多いということだ。
こういうところから子犬を入手するに際しては、注意が必要である。
子犬あげます |
「あげます」の方はたいてい、飼い主が愛犬(メス)を去勢せずにボケっとしてるうちに、犬がさっさと彼氏とできてしまいお腹が大きくなってしまった、というケースだ。
子犬が生まれるまで、どこのオスが自分の犬を孕ましたのかもわからないことが多い。生まれてからもわからないことも多い。
人間のティーンエイジャーでも、よくこんなことがあるものだ。娘を持つ親は大変だ。
マドンナの"Papa Don't Preach" そのまんまである。
タダかタダ同然で子犬が手に入るのは魅力だが、こういう子犬をもらうのは大きな賭けだ。
大体、愛犬をうっかり妊娠させる飼い主というのは、他の面でも管理がルーズな可能性が高い。
予防注射、寄生虫駆除、衛生管理など、きちんとやっているかどうか定かでない。
ペット犬なのに去勢もせず放っておくということは、犬に極力金をかけない、獣医にもろくに見せていない飼い主かもしれない。妊娠中の母犬の健康管理がずさんなばかりか、生まれた子犬は母体を通して寄生虫に感染しているかもしれない。
こんな母犬の子犬だから、、隠れた病気がある可能性は充分ある。
遺伝性疾患があることが後に表面化してくることもある。逆に、雑草のように丈夫かもしれない。
イチかバチかの賭けである。
TABIの母犬、KIWIもこの「うっかり妊娠」のケースだ。
KIWIの飼い主は、TABIパパの部下Stacyだが、彼は愛犬を去勢しなきゃと思いつつずるずる延ばしにしてるうちに犬が妊娠してしまった。それも、2年続けて。TABIは、2回目のお産のときの子だ。
唯一の救いは、KIWIはStacyの家族にとてもかわいがられていたことだ。お産の前には、新築の家のベースメントの一室を彼女のために開放してもらった。私たちが見に行ったときは、温かい部屋で子犬にお乳を飲ませていた。
今のところ、TABIは幸いにも金太郎のように元気である。だが私は100%安心しているわけではない。
子犬売ります |
「売ります」の方は、どうか?タチの悪いブリーダーから、
おたくにいいメスがいますね、どうです繁殖しませんか、メスは子犬を生ませると落ち着いていい犬になりますよ、この犬種は今流行ですからね、高く売れますよ、おたくだって自分の犬の子を見たいでしょ、うちでオスを世話しますよ、分け前はこんなとこでどうです……
などとささやかれ、その気になってしまった純血犬の飼い主がほとんどだ。
こういうのも「バックヤード・ブリーダー」と陰でさげずまれるが、まあ単に世間知らずなだけで悪気はないところが救いか。
だが、「うちの子は血統書付きだから、その子犬も価値がある」「うちの子の子犬が見たい」ということで頭が一杯になってるので、大事なことを忘れているケースが多い。
まず、純血とはいえ普通のペット犬はショーや競技会のタイトルを持っていることは少なく、従ってその子犬のセールス価値は低い。誰でも自分の犬はどんなチャンピオン犬よりかわいいと思っているが、世間の人はそう思わないのだ。
また、純血犬を繁殖するには、関節や目などに遺伝的疾患がないかどうか詳細に検査する必要がある。オス・メスともにである。
それも、獣医がちらっと診察して大丈夫そうだから、なんてのではダメで、きちんとした証明、例えば関節ならOFAやPennHIPなどの正式な証明をとらなければいけない。
そういうことをきちっとして繁殖するペット犬の飼い主というのは、少ない。
従って、そういうところから手に入れた子犬というのは、例え純血であろうが血統書がついてこようが、おじいさん犬がチャンピオンだろうが、その子が心身ともに健康である保証というのは、どこにもない。
そういう子犬を入手して後々問題が起きても、良心的なブリーダーなら子犬を引きとってくれるが、素人が繁殖している場合はまず無理だ。多産な犬は、一度に7、8頭も生む。いちいち引き取っていては大変だからだ。
だから、そんな子犬を買うにあたってはあらかじめ覚悟がいる。
その子は病気持ちかもしれないし、性格が荒れていて言う事をきかないかもしれない。それでもこれからの十数年、その子と共に暮らすことができるか?
お財布を開く前に、自分に問いかけてみよう。
(2001年10月8日)
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