収容施設

paw2.gif (869 bytes)カナダの犬収容施設

不用犬の収容施設というと、日本では保健所だろう。
カナダでは、SPCA、Pound、Humain Society など様々な施設がある。

こういう施設に犬を廃棄する場合、飼い主は廃棄料を払わなければならない。
うちの地元のSPCAでは、子犬一頭につき$50だそうだ。
飼い主にとってはゴミ同然の犬でも、命を他人にまかせるのだからそのくらいは当然払うべきだろう。
犬は新しい飼い主が見つからない場合、致死処分となる。保留期間は、施設によってまちまちである。

ここへ連れて来られる犬は、純血犬・ミックスいろいろである。
そのバックグランドもしかり。
飼い主の庭から脱走して迷子になり、野良犬同然の生活をしていて保護されたもの。
誕生日の贈り物として贈られた子犬だが、「毛の色が家のインテリアにマッチしないから」という理由で捨てられたもの。
年をとって病気がちになり、獣医費がかかるので世話が見きれない、と連れて来られたもの。
転勤で引っ越すから、犬は足手まといになるのでいらない、と捨てられたもの。
子供にせがまれて犬を買ったが、ろくに躾をしなかったらどんどんイタズラするようになり、親は面倒見きれないし子供も犬に飽きたので、いっそのこと捨ててしまえ、と連れて来られたもの。

人間の都合で突然ホームレスになった犬が、死刑執行まで過ごすのが、こうした収容施設だ。

だが施設は清潔で、たくさんのボランティアにより犬たちは散歩させてもらったり、エサも充分与えられて、世話はきちんとされている。
また、ここにいる間に職員に才能を見出され、訓練所に引き取られて介助犬、麻薬探知犬、セラピー犬などとなり、今では立派に働いている犬がたくさんいる。

もちろん、普通のペットとして一般家庭に引き取られ、幸せな第二の犬性をおくっている犬だって多い。

施設から犬を引き取るには、職員から飼い主としての適性をチェックされ、さらに犬と「お見合い」してうまくやっていけるかどうかテストする。OKとなると、引取り料を払ってやっと犬を連れて帰れる。
引き取る前に去勢手術を施す施設もある。あるいは、去勢するよう強く勧める。これは、犬の人口爆発を防ぐためである。

paw2.gif (869 bytes)みんな救うことはできない

日本の保健所では、カナダの施設ほどきめ細かいケアをする余裕がないかもしれないので、犬を選び引き取るにあたっては注意が肝心だろう。

犬の健康状態はもちろん、そのバックグランド(前の飼い主はどんな人だったか、どうして捨てられたのか)をできるだけ詳しく職員に尋ねることが大事だ。その答えによっては、自分の家庭環境にその犬が合わない可能性も出てくる。
前の飼い主のところでイタズラ盛りの男の子にさんざんオモチャにされたため、子供に対して攻撃的になってしまった犬がいたとする。そんな子でも、時間と努力で更正が可能なケースもある。でも、どうしてもダメなケースもある。いずれの場合も、そういう犬は子供のいる家庭が引き取ることは、自らトラブルの種をまくようなものだ。

「俺が救ってやらなきゃ、こいつらは死んでしまう」
というヒロイックな感情に胸を熱くする前に、もう一度冷静に考えなおすことも必要だ。
その子を連れて帰って、きちんと世話ができるのか?
きちんと世話をするということは、ただエサと水を与えるだけではない。あなたは犬向き?にあるような飼い主の責任を果たすということである。
保健所の犬は、既に心も体も傷ついていることが多い。ゆっくり時間をかけて、傷をいやしてあげる精神的・物理的余裕があなたにあるかどうか?前の飼い主に乱暴な扱いを受けたために、人見知りするようになってしまった子もいる。そういう子をリハビリしてあげられるか?

つい同情して引き取ったものの、あとでやっぱり面倒見きれないや、と保健所に戻したり新たな里親を探すのでは、たらい回しにされた犬が気の毒だ。

不幸にも処分施設で一生を終える犬は、あとを絶たない。
しかし、そんな犬をみんな救うことは、誰にもできない。

彼らを救う余裕がなくても、そんな不幸を世の中から少なくする努力はあなたにもできる。
施設で致死処分にあう犬が多い理由の一つは無計画な繁殖であり、二つ目は飼い主の認識不足である。
だから、今現在犬を飼っているならば、去勢するか厳重に管理することで犬の人口爆発の抑制に貢献できる。
また、友人や知人でこれから犬を飼うという人がいたら、犬と暮らすことの楽しさとともに飼い主としての責任がいかに重いものであるかを充分説明してあげるとよい。そして、軽い気持ちで犬を飼ってしまった結果、どれだけ多くの不幸な犬が処刑台におくられたか、愛犬雑誌などでは取り上げないような暗い事実の存在も、きちんと話してあげることが大切だ。

(2001年10月8日)

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