消化不良

This information is not meant to be a substitute for veterinary care. Always follow the instructions provided by your veterinarian.
犬の症状が重いときは、自己判断せずかかりつけ獣医の指示に従ってください。

paw4.gif (869 bytes)ぽんぽんが痛いよ…

犬はよく消化不良をおこします。犬は狩猟動物であるだけでなく、Scavenger(ゴミをあさる動物)でもあり、とりあえず口にできるものは何でも食べる性質だからです。子犬はとくにその傾向が強く、吐いたり下痢したりは茶飯事。成犬になるとある程度学習するのか、変なものを食べてお腹をこわす頻度は減ります。もちろん、一生懲りない犬もいます。

「まさかこんなものを?!」というようなものでも、食べてしまうのが犬という動物です。ある犬は、飼い主の携帯電話を飲み込み、しばらくして便と一緒に出てきたそうです。お腹の中で呼び出し音が鳴っていたのでしょうか。いまどきの携帯は小さいとはいえ、犬の胃腸ってスゴイものです。

こうした食べすぎや食あたりによる消化器官の炎症の他に、ストレスからくる胃や腸の不調もおこります。犬も人間と同じように、ストレスが体調に影響を与えることがあるのです。

犬を初めて飼う人は、子犬が吐いたりするとびっくりしてしまいますよね。犬がお腹をこわしたら、どうすればいいのでしょうか?

ここでは、カナダの獣医さんが犬の消化不良についてどう対処するか、我が家の経験や犬友達の体験談から説明してみます。日本ではあまり役に立たないかもしれませんが、カナダに犬を連れて引っ越してきた方などには、参考になるかもしれません。

paw4.gif (869 bytes)めったに診てくれない!

日本のお友達は、よく飼い犬が病気になるとすぐ獣医のもとへ飛んで行き「注射を打ってもらった」とか「いろいろ薬をもらってきた」とかウキウキ(?)して報告してくれます。でもカナダでは、人間の医師も同じですが、そうやたらと注射したり薬を処方したりはしないものです。だから日本から来たばかりの人は、「せっかく主治医のところへ行ったのに、注射もしてくれなかった」とよく憤慨します。日本人って、つくづく薬が好きですよね。でも、軽い風邪くらいでは注射も薬もなし、というのが、むしろ普通なのです。

カナダでは、人間の場合も同様ですが、診察は完全予約制です。車に轢かれて大出血!などという緊急時を除き、まずは獣医病院に電話をして予約しなければなりません。その際、受付のVT(獣医のアシスタント)がいろいろ質問してどんな様態か把握し、すぐ診察が必要かどうかスクリーニングします。たいしたことはないと判断されると、「一日様子を見て、悪化するようならまた電話してください」と言われ、予約がとれないことがあります。

「こっちは心配でたまらないのに、なんて不親切!」とキレないように。これは全く普通のことです。ぜんぜん流行ってない獣医でヒマなところだと「すぐ連れていらっしゃい」と言われるかもしれないけど、たいていの町の小動物を扱う獣医は忙しいので、これはヤバイ、というケースでないと診てもらえないと思って間違いありません。怪我などでも、傷が3センチ以上の大きさでないと縫合しないそうで、「消毒して出血が止まるまで安静に」と言われて帰されたことがあります。 「15分以内に落ち着く出血なら心配なし」とも。要するに、常識的な応急処置をとることを、飼い主も学習する必要があるということですね。

消化不良のようにごく頻繁に起こるものはなおさらで、ほとんどの場合が電話での問い合わせで済んでしまいます。ただし、以下のような症状を見たらそれを受付に告げ、獣医に診察してもらう必要があります。

このような症状のどれか、または組み合わせがある場合は、即効で診てもらいましょう。

paw4.gif (869 bytes)断食からおじやへ

さて、たいしたことはなさそうだ、とわかったところで、家庭での処置の仕方をVT(獣医のアシスタント)から教えてもらいましょう。

まず、ゲロの場合も下痢の場合も、必ず食餌を抜くようにと言われます。とりあえず消化器官を休ませることが大切だからです。 ゲロゲロしたあとは、6時間くらいは食べ物も水もひかえて様子を見ます。その後吐き気が止まったら、水だけ少し(おちょこ2杯くらい)あげてみます。水を飲んで吐くようなら、また断食で様子を見ます。

下痢の場合は脱水症状が出ないように、数時間の断食のあと水分はとらせてあげましょう。喉の渇きをいやすために、一口大の氷を口に含ませるのもいいそうです。

犬によっては、ゲロゲロで下痢ピーのくせに食い意地だけは強く、「メシをくれ!」と要求するものもいますが、心を鬼にして食べさせないよう注意します。ちょっとぐらいいいだろう、とオヤツをあげたらまたゲロゲロ…というのはよくあることです。 炎症をおこした消化器官が回復するのに、24時間はかかるそうです。TABIくらいの中型犬(体重が約20キロくらい)だと、二、三日の断食ではびくともしませんから安心を。超小型犬は、獣医さんの指示に従ってください。

断食開始から12時間経過し、ゲロや下痢ピーがおさまったようなら、「おじや」を作って食べさせます。獣医からは「Rice and Hamburgerを食べさせなさい」と言われるはずです。ここでいうハンバーガーとは、いわゆるマクドナルドなどのバーガーではなく、牛挽肉のことなので注意してください。牛挽肉をこちらではこう呼んでいるのです。

このおじやは消化の良い病犬食で、こちらの獣医はみな、病中病後の犬によく薦めます。牛挽肉以外にも、脂身のない鶏肉や低脂肪カッテージチーズでも代用できるそうです。作り方は、やわらかく炊いた白米のご飯と煮た肉を半分ずつ混ぜるだけです。


肉おじや

これを、初めはおちょこ一杯くらい(小型犬なら小さじ半分くらい)食べさせます。数時間様子を見て大丈夫なら、量を少しだけ増やしてあげてみます。このようにして、2日くらいかけてだんだんにおじやの量を増やしていきます。親心でついたくさん食べさせてしまい、吐いたり下痢したら、また振り出しに戻って断食させなければいけません。

お腹がすっかり回復し、健康な便が出るようになったら、おじやの量を減らし普段食べているエサを加えていきます。数日かけて普通の食餌に戻します。 これだけで、薬を使わずにたいていの消化不良は治るそうです。

こんな手当ては面倒だ、という方は、お薬を飲ませて手っ取り早く治してしまうでしょうが、薬にばかり頼るのはどうなんでしょう?せっかく自然治癒力がそなわっているのに、その力を無視するというのは?そうやって小さな不調にことごとく薬で対処していくことが、将来もっと大きな病気(ガンなど)を呼ぶ原因にならないでしょうか? 生き物の体は、使わなければどんどん衰えていきます。病気に対する抵抗力も、働くチャンスがなければ弱くなって、そのうちちょっとした病気にも負けてしまうようになるでしょう。

ストレスが嵩じてお腹をこわした子は、もちろんそのストレスの原因を除いてやらないとなかなか治りません。二頭目の犬が来たことによるストレス、引越しなどで環境が変わったことによるストレスなどは、犬が新しいものごとに順応するにつれて消えていくことがあります。

注意したいのは、断食中に犬が餓鬼状態となり、ゴミでもなんでも盗み食いしてしまうとお腹がなかなか治りません。犬が元気な限り外で遊ばせてもいっこうにかまわないのですが、犬公園などでよその人からクッキーやソーセージをもらってしまい、またゲロゲロ…ということもあります。よ〜く目を光らせることが大切ですね。

あるラブは、クリスマスツリーのボール状の飾りを金属製のフックごといくつも飲み下し(あんなものウマイのか?!)、飼い主に動物病院へ連れて行かれました。彼は飼い主の目を盗んで診察室から逃走し、待合室で売っている犬用ジャーキーをくすねて食べてしまい、病院中を駆けずり回って数分後にやっと御用となりました。病院の中だからといって、油断はなりません。

クールマットへ

(2005年3月20日)

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