去勢について

ペットを去勢しよう

このページのGIF画像、「ペットを去勢すべき5つの理由」「ペットを去勢しない飼い主の6つのいいわけ」は、Holly Burns のウェブサイト The Dog Hause からの提供です。
日本語訳はTABIママによります。(原文は犬だけでなく猫についても述べているので、訳文もそのまま原文に忠実にしてあります)

訳者注: "spay" "neuter"は、ともに「去勢」と統一して訳しました。なぜなら、「避妊手術」と呼ぶものには、卵管結さつや精管切除があてはまるからです。これらの手術は、妊娠の防止には効果的ですが、去勢がもたらす諸々の効果(病気の予防、問題行動の回避)は期待できません。

paw4.gif (869 bytes)ペットを去勢すべき5つの理由

1.より健康で長生きできる
メスが発情期を迎える前に(つまり、性的に成熟する前に)去勢すると、乳ガンにかかる率が激減する。また、子宮ガンや卵巣ガン、未去勢のメスがよくかかる子宮 蓄膿症には絶対かからない。

オスの犬や猫を去勢することで、睾丸腫瘍が予防でき、また前立腺の疾患を予防する可能性がある。また、未去勢の老犬によくみられる肛門周囲の腫瘍やヘルニアにかかる率が減少する。去勢したオス猫は、あまり外をうろうろしなくなるので、喧嘩による怪我や病気にかかることが激減する。

2.去勢した犬や猫は、より良いペットになる
若いうちに去勢したオスは、他のオスに対する攻撃性が減り、発情中のメスに惑わされることがない。なので、飼い主の敷地から抜け出して、カノジョ会いたさに危険をおかして高速道路を走り抜けるようなことは、めったにしない。また、去勢したオスは、飼い主(またはご近所)の大事な生垣にオシッコをかけて回ったり、家の中にマーキングすることもまずしない。

メスを去勢すると、飼い主の家の庭にあちこちからオスどもが集まって、熱いラブコールをおくることがなくなる。また、メスがカレシを求めて外をうろうろしたり、うっかりデキてしまうことも防げる。

3.望まない妊娠はもうたくさん
去勢することで、ペットが不幸な子犬や子猫を生むことを防げる。

4.メス犬の血の後始末をしなくてよい
メス犬は、一年に二度、発情期に約10日ほど血の混じったおりものを出すので、カーペットにシミをつけないように注意しなければならない。去勢すれば、このような心配はなくなる。

5.ペットを去勢することで、犬や猫の人口爆発問題の改善に役立てる
毎年、アメリカ国内のシェルターで何百万匹もの犬や猫が致死処分されている。問題犬/猫として飼い主から持ち込まれたものも多いが、みなしご犬/猫のほとんどが未去勢のペットによるうっかり繁殖の結果である。ペットの去勢が増えれば、致死処分される動物の数が減る。

デラウェア動物愛護協会は、致死処分を行わない。 しかし、収容頭数が限られているので、協会では毎年何百頭もの犬/猫に対し引き取り拒否せざるを得ない。

ペットを去勢しよう

paw4.gif (869 bytes)ペットを去勢しない飼い主の、よくある6つのいいわけ

1.去勢すると太ってなまけものになるから
去勢することでペットの活動量が減り、外をうろつくことがなくなり、またホルモンバランスも変わるので、食欲に影響が出る可能性はある。しかし、去勢後に太ってなまけものになったのは、たいてい食べ過ぎと運動不足の結果だ。

2.うちのポチやミケちゃんみたいな子がもう一匹欲しいから
純血同志と掛け合わせて、親のどちらかそっくりの子が生まれてくる可能性は稀である。ミックス犬/猫に至っては、どちらかの親そっくりの子が生まれることは実質上不可能である。

3.うちの子の性格が変わってしまうから
去勢によってもたらされる性格の変化は、良いことずくめ。他の犬や猫に対する攻撃性は減るし、ききわけのいい子になるし、外をうろうろすることもまずなくなる。テリトリーマーキングも、減るか全くしなくなる。

4.子犬や子猫を売って、お小遣い稼ぎできるから
有名なブリーダーでさえ、純血種を繁殖して赤字が出なかったらラッキーな方だ。種付け料、予防注射やその他の医療費、そして高品質のフードなどにかかるお金で、儲けのほとんどは消えてしまう。良心的なブリーダーは、その犬種が好きだから育てているのだ。また、その犬種のスタンダードを向上させるべく努力している人たちでもあるのだ。

5.子供たちにペットの出産を見せたいから
ペットの出産は、たいてい真夜中だったり、どこかにかくれて産むことが多い。出産時にはそっとしておくことが肝心であり、邪魔をすると母犬/猫が取り乱してしまうことがある。
また、邪魔が入ったことで生まれた子を世話しなくなったり、飼い主やペット自身が大怪我するような事態を招きやすい。

6.麻酔が心配だから
麻酔が心配という飼い主は多い。
全く危険がないわけではないが、現在の獣医外科で使用される麻酔は、たいへん安全性が高いものである。ほとんどの獣医は、心拍数や呼吸数を機械でモニターし、動物の様子を確かめながら手術を行う。麻酔に伴う危険性などは本当に小さなもので、それよりも去勢がもたらす健康面での利点の方がはるかに大きいのだ。もしどうしても不安ならば、かかりつけの獣医に相談すると良いだろう。

paw4.gif (869 bytes)TABIを去勢した理由

医学的な利点などについては、上にのべたとおりです。

一つは、「不幸な子犬の行方」を目の当たりにしたからです。
TABIの母、KIWIは7頭の子犬を生み、TABIのほか1頭はKIWIの飼い主Staceyの知人のうちへもらわれました。

知人のうちへもらわれた子犬は長男で、体格が一番大きく、たいへん賢く、子犬なのに驚くほど落ち着きのある、将来楽しみな子でした。が、彼の飼い主(独身)はひきとってすぐ、仕事が忙しくて子犬をかまってやれる時間がないことに気づき、1週間足らずでよそへやってしまいました。その後子犬は飼い主を転々として、最後は犬収容所で短い生涯を終えました。

TABIパパもママも、Staceyの家で7頭の子犬それぞれを見て抱き上げ、話しかけましたから、その子のこともよく覚えています。無邪気に遊ぶTABIと、この子の兄の姿が重なってしまいます。運命とは残酷なものです。私たちが兄犬のほうを選んでいたら、TABIが代わりに不幸な一生をおくったかもしれません。

Staceyがもっと早くにKIWIを去勢していたら…もちろん、TABIも生まれてこなかったわけですが、この不幸な兄犬も悲しい運命を味わうことがなかったでしょう。

「TABIの兄犬と違って、うちの犬はれっきとした血統書付だし、この子の子ならみんな幸せになるはず」
と思っているあなた。
シェルターに行ってみてください。
「もう面倒見きれないので」と持ち込まれる犬の中には、たくさんの純血種がいます。そこでは血統書がある犬が優遇されることはありません。どの犬も、新しい引き取り手がなければ致死処分です。

すでに犬人口はあふれている今、1頭でも不幸な子犬が少なくなるよう責任を持つのが、ペットとして犬を飼うものの勤めだと思っています。自分の犬だけをかわいがる人は「愛犬家」といえるでしょうか。世の中にたくさんいる、せっかく生を受けながら処分されていく犬たちの存在に思いをはせ、問題の解決に貢献するのが本当の「犬を愛する人」なのではないでしょうか。

ペットを去勢しよう

1+1=4,372 ってどういうこと?
1匹のメスと1匹のオスから生まれた子犬たち、その孫、そのまた孫…
7年間で4,372匹も繁殖してしまうってこと。
この子たち全部の世話は誰にもできない。
ペットを去勢しよう。

二つ目は、「去勢手術が日常的に行われているカナダでは、安心して獣医にまかせられる」ことが確信できたからです。

子犬をお散歩デビューさせると、愛犬家友達がたくさんできます。彼らによく聞かれるのは、
「この子の去勢予定はいつ?」
です。ペットとして飼っている以上、去勢するのは当たり前ということなのでしょう。また、この質問にどう答えるかによって、責任ある飼い主かどうか判断しようという意図があるのかもしれません。それに手術はタダではありませんから、相手の経済状態もなんとなくさぐれるわけです。

ともあれ、すでに愛犬の去勢手術を済ませた人が大勢いるので、一体どんな具合なのか情報を集めるのが楽でした。みんな、
「つらそうなのは2,3日だけ。あとはすぐ元気になるわよ」
と言ってくれました。

paw4.gif (869 bytes)手術とその時期

手術は、全身麻酔で行われます。

筋肉弛緩剤の注射後、麻酔用のチューブが気管に挿入されます。手術部位が剃毛・消毒され、手術台にのせられた犬に心電計がつけられます。滅菌した手術用具が獣医のそばに準備されると、手術開始。

オスの場合、睾丸だけを取り除き陰嚢(袋)はそのまま残します。切開もたいへん小さくてすみ、傷跡はすぐにほとんどわからなくなります。術後に袋が腫れることがありますが、一週間ほどで腫れがひき、袋は縮んで小さくなります。

メスは、下腹部を切開して子宮と卵巣を摘出します。体内で自然に溶ける糸を使用し、切開部位が一層ごとに縫合されます。手術時間は、発情したことのないメスの場合で約25分とか。発情したことのあるメス、出産を経験したメスや腹部に脂肪が多いメスなどは、もっと時間がかかるそうです。

費用は病院によっていろいろです。メスの方が時間がかかるためオスよりやや高く、また出産経験の有無などによっても違ってくるようです。さらに、料金は体重別に設定されていることが多いようです。体重が重いほど、麻酔の量が多くなるからです。ちなみにTABIの場合、体重45ポンド(約20kg)以内のオスということで、税込み$136.44でした (2000年9月の料金)。

去勢の最適時期に関しては、いろいろな意見があるようです。早ければ早いほど良く、生後4ヶ月未満でも安全に行えるとしている獣医もいます。一方、体の成長が一段落し、性的に成熟したあと(オスなら足を上げてオシッコやマーキングを始めたあと、メスなら初めて発情をみたあと)が良いとも言われます。一般的には、オスで10ヶ月、メスで6〜7ヶ月を過ぎると去勢に踏み切る飼い主が多いようです。ちなみに、TABIは生後10ヶ月で手術を受けました。

paw4.gif (869 bytes)去勢してよかったこと、大変だったこと

オスを去勢すると攻撃性がなくなり、性格がおだやかになると言われます。TABIの場合、もともと弱虫小僧だったので、前と変わらずです。ただ、ほかのオスから攻撃されることが激減しました。おむかいのPEPPER(ジャーマンシェパード)は、災害救助犬としても働く、たいへん訓練のゆきとどいた犬です。以前はよくTABIパパとも遊んでいました。が、TABIがうちに来て以来、テリトリー意識が強くなったらしく、まだ赤ん坊のTABIを攻撃すること数知れず。おまけにTABIパパ・ママにも噛みつくようになってしまいました。さらに、前は絶対に自分の飼い主の敷地から出なかったのに、TABIの姿を見るや、バックヤードのフェンスを飛び越え、うちのフロントヤード目掛けて猪突猛進してあやうく車にひかれそうになったことも。

おむかいも、うちも、「困ったねえ」と頭を抱えていました。これは、TABIが子犬とはいえオスなので、尿の中の男性ホルモンをシェパードが嗅ぎ付け、テリトリー意識を猛烈に刺激したからだそう。

このPEPPERが、TABIを去勢してからウソのように静かになりました。今でも家の前を通るたびに吠えますが、攻撃されることはありません。

もう一つ良かったことは、お散歩のとき、マーキングの回数が減ったことです。前は木や電信柱や消火栓を見るたび止まってしまい、ちっとも先にすすめませんでした。でも、今は半分以下の回数になりました。

大変だったことは、手術後、傷をなめるのをやめさせることです。エリザベス・カラーをつけてもとってしまうし。(詳しくは去勢手術を)

また、抜糸するまでは長時間のお散歩や激しい運動、水泳などができません。このハイエネルギーな子犬を、おとなしく療養させるというのは難儀でした。
「飽きちゃったよ〜、外で遊ぼうよ〜」
とブータレるTABIをなだめるのが一苦労。

その他、よく去勢すると太るとか聞きますが、TABIの場合運動量が多いので太っている余裕はないみたいです。体型は変わらないし、運動能力も全く影響ありません。周りの犬友達を見ても、「去勢したから太った」という例はありません。(老犬の場合、加齢による肥満というのはあるようです)

おもしろいことに、肥満体の犬はその飼い主もふくよかなことが多いようです。よく聞いてみると、飼い主が好物のドーナツ、アイスクリーム、ケーキ、ポテトチップスなどを食べるときに犬にもあげつづけた結果、犬がカロリー過剰になっています。また、太っている飼い主は動くのがおっくうなので運動しませんから、必然的に犬の運動量も減ります。つまり、この場合の肥満は、単純に{カロリー過剰プラス運動不足}の結果です。こうした飼い主とその犬を見て、「去勢するとあんな風になっちゃうのね」と誤解しないよう、注意しましょう。去勢しなくても肥満体の犬はいるのですから。

これを防ぐには、犬が食べ過ぎないよう注意し充分に運動させるという、当たり前のことを実行することです。

参考: DR. PITCAIRN'S COMPLETE GUIDE TO NATURAL HEALTH FOR DOGS AND CATS Richard H. Pitcairn, DVM,PhD/Susan Hubble Pitcairn

かかりつけの動物病院からの手術の説明

(2001126日)

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