BAY 恵まれたセカンド・チャンス
コッカースパニエル
推定1997年生まれ、♀、去勢済み


2011年の夏

paw1.gif (869 bytes)どこから来たのか、BAY

以前住んでた街の、ご近所さんのわんちゃんである。

そのご近所さんがカナダのジョージアン・ベイというところに住んでいたころのお話。ある夜、外で物音がしたので出てみると、玄関のドアの向こうに黒い犬が。毛は汚れてくしゃくしゃ、ガリガリにやせて寒さで震えていた。首輪はなく、誰の飼い犬なのかわからない。とりあえず屋内に入れてやり、ご飯を食べさせてやると、よっぽど疲れていたのかすぐに丸くなって眠ってしまった。

翌日から近辺の家々に「この犬を飼っている人を知らない?」と聞いてまわったが、みんな首を振るばかり。田舎なので、たいていのうちのペットは顔見知りなのだが、この子を見たことのある人はいなかった。おとなしくて子供達にもよくなついたので、そのうちで飼うことにしたという。

獣医さんに連れていったところ、純血のコッカースパニエルのメスで、まだ1歳前後だろうと言われた。たまたまその地方に旅行に来ていた飼い主とはぐれてしまったのか、何かの理由で捨てられたのか。すごくやせていたことから、かなりの日数をさまよっていたらしい。しかしすぐにそんなつらい過去は忘れ、新しい家族のもとで幸福な日々をおくることになる。

paw1.gif (869 bytes)サバイバー

初めて彼女に会ったとき、なんだかとってもだるそうに歩いているなと思った。ハアハア荒い息をして、散歩に行くのもやっとの様子。太っているし、老犬なのだな、と思った。そしてその後、しばらく彼女の姿を見かけなかったので、お星様になっちゃったのかと思った。

しかしそのすぐあと、ご近所の芝生の上を転げ回って遊んでいる黒いコッカーの姿が、我が家のキッチンから見えた。「先代犬が亡くなったので、新しい犬が来たんだな」と思った。

ところが聞いてみると、「違う、違う、同じ犬よ」と言うではないか!なんと、獣医さんでBAYのお腹にオレンジ大の良性腫瘍が見つかり、手術をしたのだと言う。肥大した腫瘍が胸を圧迫し、呼吸をさまたげ、また腫瘍そのものの重みで歩くのが困難だったらしい。十歳を過ぎた犬なので、全身麻酔に耐えられない可能性もあり、万が一の覚悟はしたとのことだが、BAYは楽々クリア。青々した剃り跡と縫合した傷が痛々しいものの、すっかりスリムになり(太って見えたのは、腫瘍があったからだった)、表情も生き生きとしてすっかり若返ったようだった。

生命力のある犬ってスゴイものだな、と思った。その時この子は12歳だったが、手術から回復して毛がすっかり伸びたころには元気一杯になり、TABIともよく追いかけっこで遊んでいた。誰にでも愛想が 良くておとなしい犬で、よく我が家の庭にも来て木陰で休んでいった。「この子は、本当にサバイバーだねえ〜」と、飼い主と話したものだ。

それから彼女の飼い主は再婚して、新しい家に引っ越すことになった。「新しいうちの庭はすごく広くて、BAYが好きなだけ走り回れるのよ」と、飼い主さん。BAYは、ウキウキしながら車に飛び乗って、家族と一緒に去って行った。やさしい黒い大きな瞳が、忘れられない。

2013年6月12日)

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