バックヤード緑化大作戦

石と砂利の魔界

TABIが子犬のころから今まで住んだ数々の家の庭は、どれもふかふかの緑の芝生があり、TABIは思いっきりかけっこをして育ちました。ところが、今回私達が買った家の庭には全く芝生がなく、そのかわり灰色の石ころと砂利で覆われていました。

じゃり
石ころと砂利だらけ

近所の人の話によると、このうちも新築のころは芝生が敷いてあったのに、前の住人であるイギリス人外科医夫婦が「芝刈りはもうたくさん」と言って業者に依頼し砂利を敷いてしまったのだそうです。私達が家を見に来たとき、フロントヤードもバックヤードも全面的に砂利と石ころだけの庭は、緑に囲まれた近所の家々と対照的で何かすごく異様な雰囲気が漂っていました。本人達は「砂利にすれば、雑草退治はしなくてすむから」と思っていたそうですが、実際には雑草は全く土のない砂利にもどんどん繁殖します。健康な芝生であれば密生することで雑草を駆逐できるけれども、砂利にはなすすべがなく、彼らは夏は毎日雑草退治で追われたとか。ついに音を上げて、この家を売却してコンドミニアムへ引っ越してゆきました。

アメリカの私達の家の庭にも一部だけ砂利があったけれども、それは土台の周囲だけ。庭が全面砂利というのは、ちょっと例を見ません。実は砂利だらけの庭は、いいことはあまりないのです。

などなど。特に夏の暑さは、要するに石焼き芋の原理なので強烈で、犬だけでなく私達人間も降参しました。また、ホコリによりTABIママのアレルギーは一時悪化したし、TABIもここに来て生まれて初めて気管支炎を二度も患い、獣医さんからお薬をもらうハメに。 老犬だからと言えばそれまでだけど、ここに来るまで気管支炎なんて患ったことなかったのに...。この家は私達にとって鬼門なのかしら...。と、しばらく落ち込んでいました。

さらに、掃除しても掃除しても砂利が家の中まで入ってくるため、フローリングの床表面が傷だらけ。TABIママは「砂利と石ころを撤去して芝生を敷かないと、TABIも私も命が縮まる!芝生にしないのなら、私と犬だけよそへ引っ越す!」と言ってTABIパパを脅し、緑化作戦に同意させました。

緑化作戦の開始

引っ越して一年後の春、早速作業を開始。

ます、砂利を取り除くことから始めました。砂利撤去は業者に依頼すると大変なコスト(日本円で何十万から何百万)なので、ネット上で砂利が欲しい人がいるか呼びかけたところ、幸いにも自宅を新築したばかりのカップルがすぐトラックで来てくれました。大量の砂利は購入するとかなり高価(やはり日本円で何十万から何百万)なので、タダでもらえるとあって彼らはものすごく喜び、毎週末にうちへ来て一ヶ月ほどでフロントとバックのほとんど全ての砂利を持っていきました。若干残った砂利は、近所の人々が花壇用に欲しいとか駐車場用に欲しいいうことで来て、どんどん消えてゆきました。

その間、芝生が恋しいTABIはお隣のうちの庭へお邪魔してふかふか緑を味わってました。

砂利がなくなったところで腐葉土を入れ、芝の種(白色クローバーの種混合...クローバーが芝に必要な栄養素を供給する)を蒔きました。鳥が種を食べたり近所の猫が土を掘り起こしたりしないよう、細かい目のチキンワイヤで表面をおおい、Uピンで留めます。その後水やりですが、ここには自動スプリンクラーがないため、手動で水遣り。午前5時、お昼、夕方の一日三回、毎日欠かさず水をまくことを続けて三週間。やっと緑の芝が芽を出し育ち始めます。

しばのめ
こんなに芝が!

バックヤード全体にいっせいに芝の種をまくと庭の出入りが制限されて大変なので、いくつかのセクションに分けてやりました。十箇所のセクションに分け、TABIと私達の通り道を確保し、芝がうまく成長したら次、というふうに。

せくしょんにわける
左上に見えるのが、TABIの新しい犬小屋

種をまいてから一ヶ月もすると、芝はひっぱっても抜けないくらい丈夫に根を張っています。あおあおした緑を見るのは、やっぱり最高!

いっかげつご
TABIパパ、芝をひっぱってテストしてます

緑の芝生がどんどん増えて、TABIも幸せそう。ふかふかの芝生の上を走りまわり、寝転がったりオモチャで遊んだり。気がつくとTABIの気管支炎が出なくなったし、咳の数もすっかり減少。TABIママのくしゃみも減りました。もちろん、家の中に入り込む砂利がなくなり、掃除機かけも一日一度ですむように。

それとなんといっても一番ありがたかったのは、緑化により夏でも夕方には涼しい風が入ってくるようになったこと。砂利があったころは、夜になっても庭がムンムンと蒸し暑く、戸を開けようものならまるで熱いオーブンのドアを開けるかのように熱気が家の中に一気に入り込んできたものです。日本で人気の緑のカーテンのように、緑の芝生は周囲の空気を冷やすのに一役かっているのではないかと思います。

しばとたび
「パパ、ママ、ありがとう!」

春から夏にかけ約半年間の長い緑化作戦で、バックヤードの全体が芝生にもどりました。フロントはまだ未完ですが、とりあえずTABIが昼間過ごすバックヤードが緑化できたので、私達はとても満足です。

ところがせっかく緑化したのもつかの間、なんとTABIはまだ柔らかい芝の赤ちゃんを掘り出す喜びを発見。芝が生長して根が深くなれば、簡単には掘り出せません。が、芝が若く根が浅いうちは前足でホリホリするだけで簡単に根こそぎ掘り出せるのです。なんたること!仕方なく、またチキンワイヤが復活。早く芝が育って欲しいな〜

(2013年11月27日)

 home

Copyright 2001 to Infinity, Mon Jardin