犬を贈る
|  サンタの贈り物 | 
クリスマスの朝。
パジャマ姿の子供たちが、リビングに入ってくる。
  暖炉のそばには、大きなクリスマスツリー。その下には、色とりどりのプレゼントの包みがたくさん。
  そのうちの一つが、何やらもぞもぞ動いている。
  子供がフタを開けると、中には本物の子犬。
  「やったー、子犬だ!サンタさん、ありがとう」
  喜ぶ子供たち。ドアの隙間からそっと見守り、ニッコリするパパとママ。
こんなシーンは、映画やCMでよく目にする。
一見微笑ましい光景だが、その裏には、
  「旦那、おたくの坊ちゃんに子犬はどうです?喜びますぜ、いっひっひ…」
  という商魂が隠れている。
  そして、そんなのにコロリとだまされる人間のおかげで、たくさんの罪もない子犬が犠牲になっているのだ。
|  いらなくなったらゴミ箱行き | 
毎年、早春の不用犬収容所は生後数ヶ月の子犬であふれかえるという。
  クリスマスに「サンタ」がくれた子犬がイタズラ盛りとなり、手におえなくなった親どもが子犬を次から次と捨てにくるからだ。
犬はゲームボーイではない。
  飽きたらスイッチを切っておしまい、というわけにはいかない。
  毎日エサをやり、散歩に出し、病気になったら獣医に見せ……赤ん坊と同じくらい世話が焼ける。
  子供のオモチャとしては、手に余るシロモノだ。
  そんなことも考えず、クリスマスに子供に子犬を買い与える親は、あまりに情けない。
そして、簡単に犬を捨ててくる。
  「廃棄料を払ったんだから、文句ないだろう」
  と言うかもしれない。(カナダでは、犬を引きとってもらうのにも手数料がかかる)
でも、それが子供に何を教えるか、考えたことがあるのだろうか?
「命なんて、安い」ということだ。
  「命なんて、いくらでもかわりがある」ということだ。
そんなことを子供に教えるインチキ・サンタクロースなんか、犬の敵だ。
(2001年9月9日)
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