両足ききにするには

 

paw4.gif (869 bytes)強いきき足の問題

「アジリティをやろうと思ったその日から、両足ききになるよう犬をトレーニングすべき」 と言われる。人間に右ききと左ききがあるように、犬にもきき足があり、ほとんどの犬が生まれつき右ききだという。なぜアジリティで両足ききが有利なのか?

服従競技では、犬はハンドラーの左側に位置させなければならない。犬は、ハンドラーの左に位置して自分の右上方を注目することが習慣になっている。しかしアジリティでは、障害物の配置によって犬をハンドラーの右からでも左からでもおくりこむ必要がある。服従をバッチリやった犬は、どうしてもハンドラーの左に磁石に吸い寄せられるようにくっついてしまうため、ハンドラーが無理な軌道を通って犬をおくりこむ様子を多々見受ける。 これは明らかにタイムのロスとなる。

また強いきき足のある犬は、ターンする時にそのきき足によって不得意な方向と得意な方向に大きな違いがある。得意な方向にはタイトにスムーズに回転できるが、不得意な方向には不器用に大回りしないとターンすることができない。その様子は、追いかけっこで遊んでいる犬、ボールやオモチャを追いかけている犬、家畜をまとめる仕事をする犬などをよく観察すると見ることができる。 アジリティの上級コースでは、非常にタイトなターンを要求されることがままある。そういったコースを最高速度で走っている犬が、 不得意な方向にターンするとき、つまずいたり転んでしまうことがある。これは怪我を招きやすい。 もちろん、競技場の足場の悪さや無理なコース・デザインも大きく影響するので、きき足だけの問題とは言えない。しかし、足場の悪さに加えてきき足の問題があると、タイトなターンは非常に危険なものとなりやすい。

また、 ウィーブのエントリーからフィニッシュまでをスピーディーにこなすには、犬はリードとなる足を右、左と手早くかえて進む必要がある。Clean Run Ultimate Weave Pole Challenge の映像を見ると、この様子がよくわかる。 犬によりウィーブのスタイルが違い、大柄な犬はシングル・ステッピング(片足ずつ横に出して泳ぐように前進する)が多く、小柄な犬はダブル・ステッピング(両足をそろえてピョンピョン左右に飛びながらポールをくぐり抜け前進する)が多いが、どちらも左右のリードを瞬時にかえる点では同じだ。両足ききの犬ならこれがスムーズにできるが、強いきき足があると余計なステップを踏まなければ進めず、これもタイムのロスとなる。 クロス・ステッピング(ポールをくぐるときに前足が交差してしまう)の原因は様々だが、きき足が強いために足の運びがうまくいかないことも一因だ。

paw4.gif (869 bytes)まずきき足を調べる

自分の犬が右ききか左ききかを確かめる簡単な方法がある。幼い子犬はあまりきき足の強さを示さないので、大きくなってから試したほうがわかりやすいと思う。

一つは、オヤツを手に持って犬の鼻にかざし、手を動かして犬にその場でくるりと回転させる。時計回りやその逆を試す。犬は、きき足の方向にはスムーズに回るが、逆だと少しもたつく。

もう一つは、フライボールの初期練習で行う簡単なテストだ。テニスボールを投げ、犬に持ってこさせる。 まっすぐに投げること。右や左にそれると、正確さに欠けてしまう。犬がボールをくわえたあと、どちらの方向へ体を回転させるかを確認する。10回やって記録し、多く回転した方向を調べる。 その方向がきき足となる。

きき足がわかったら、日常のなかで両足ききになるようにトレーニングする。上記のオヤツを使って犬に回転させるのはストレッチングにも良いが、右左両方向にやらせることを続けると、どちらの方向にもスムーズにターンできるようになる。また、犬と歩くときや走るときには犬を左だけでなく右にもつけるようにする。リードハンドの練習も、左右をかえてやると役に立つ。

生まれつきのきき足は完全に変えることはできないかもしれないが、少なくとも意識して両方向どちらでも使えるようにすることは、怪我の予防にもなりメリットが大きいのではないだろうか。難しいトレーニングではないので、おすすめだ。

(2006228日)

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