クレートトレーニング
クレート(ケージともいいます)は、犬に安心してやすむ場所を提供し、飼い主にとっては トイレのしつけのスピードアップを約束する、大変便利なものです。
犬の大きさによってサイズは小さいものから超特大まであり、材質は金属・木・プラスティックと
さまざまです。TABIのクレートは、金属製でバラバラにして持ち運べるようになっています。通気性もよく、
掃除も簡単です。
クレートに入れるなんて、残酷? |
「檻に閉じ込めるなんて、ワンちゃんがかわいそう」
と思っている人も多いでしょう。確かに、人間から見るとクレートの中の犬は「閉じ込められている」ように見えますね。でもそれは、
人間の勝手な思いこみです。
犬の身になってみると |
犬は、その祖先の狼と同じく「巣穴本能」があるそうです。
敵から身を守るために安全な寝ぐらを確保し、そこでやすみます。飼い犬にもその本能があり、「自分だけのスペース」で安心してやすむことを好みます。 その場所を提供するのが、クレートです。クレートは「檻」ではなく、犬にとって「私の部屋」「マイ・ホーム」なのです。 子犬のうちから正しくクレート・トレーニングされた犬にとって、クレートは「安心して眠れる場所」です。
クレートがあると |
飼い主にとって
トイレのしつけがしやすくなる。
安心して外出できる。留守の間、家の中をめちゃめちゃにされることはない。
犬を車に乗せて安心して移動できる。
犬にとって
自分だけのくつろぎの場所で眠ることができる。
お留守番の間、オモチャで遊んだりお昼寝したりして時間を過ごせる。
飼い主と一緒に車やその他の乗り物でどこへでも連れていってもらえる。
お留守番の間に、飼い主の大事な家具や靴を噛んで叱られることがなくなる。
子犬のクレート・トレーニング |
生後8〜16週間が、最適なトレーニング開始時期だと獣医さんから聞きました。 このくらいになると、子犬は自分だけの場所にこもりたがるようになるそうです。
クレートの大きさは、今の子犬の大きさに会わせるのではなく、成犬になったときの大きさを想定して、 充分ゆとりのあるものを購入します。今は大きすぎ、と見えても、ワンちゃんはすぐに大きく なります。あとで買い替えるのはお金の無駄です。(TABIパパ・ママはこれで失敗。今の クレートは2個目です)
成犬が、立って楽に方向転換できるゆとりが必要です。たいていのクレートメーカーは、 どの犬種がどのサイズに合うかをチェックできるチャートを用意しているので、参考にするといいと 思います。
はじめは、家族みんながよく見えるところ(リビングなど)に置きます。クレートはたいてい強化プラスティックの底板がついてきますが、古い毛布やタオルをしいてやるといいでしょう。
新聞紙は、そのニオイが刺激となってオシッコすることがあるので、しかないほうがいいと思います。 さらに、飼い主の着古しのセーターやTシャツなどを入れてやると、それをかぎながら安心して 寝てくれます。(お父さんのとか、夫のとか、男物のほうがいいみたい。犬って、臭いものが好きだし)
いきなり閉じこめると、二度と入ってくれなくなります。最初は、オモチャやクッキーなどをクレートに入れて、子犬に自分から入らせます。
私は、床の上に子犬用クッキーを並べ、クレートに導き、さらにクレートの奥まで並べるという 「ヘンゼルとグレーテル方式」を試みて、うまくいきました。(クレートのドアは開けたままです)こういう遊びを何回か繰り返すうちに、子犬はクレートに入ることにすっかり慣れ、オモチャを持ち 込んだりお昼寝したりするようになります。
そうなったら、子犬が中にいるときに少しドアを閉めます。あわてて外に出ようとするようなら、 ドアを全開。「いつでもドアは開くよ」ということがわかると、閉めても平気になります。閉まったドアに完全に慣れたら、ロックして様子を見ます。
ドアが閉まって、子犬がないたり騒いだりしたときは、子犬をまず静かにさせてから出してやります。ないてる最中に出すと、「騒げば出られる」と覚えてしまうからです。静かにさせるには、子犬に見えないようにして背後の壁を強くたたいたり、物を落としたりして大きな音を出し、びっくりさせます。一瞬なきやんだところで、静かにドアを開けます。
こうしてクレート内で過ごす時間を徐々に増やしていきます。一晩中クレートで眠れるようになったら、完全にクレートに慣れたといえるでしょう。 夜、どうしてもさみしくてなくようなら、クレートを飼い主のベッドのそばに持ってきてもいいでしょう。 実際、トイレのトレーニング中は、子犬がそばに寝ているほうがすぐに外に出してトイレをさせ られるので、飼い主にとって楽です。
子犬をクレートに入れ外出するときは、首輪とタグをはずすことを忘れずに。 タグがクレートの部品にひっかかって、もがいた子犬が窒息死することがあるそうです。
罰として閉じ込めたり、長時間入れたままにしない |
クレートはあくまで「くつろぎの場所」であるべきです。
悪いことをしたからおしおきとしてクレートに放り込み、ロックしたら、子犬にとってそこはまさに 「刑務所の檻の中」になってしまいます。悪い印象がつくと、二度と自分から入ってくれません。 これでは、トレーニングがおじゃんです。
また、クレートに入れて外出するときも、子犬のうちは短時間にとどめるべきです。子犬は長時間オシッコをためておけないので、あまり長くクレートにいるとおもらししてしまいます。 一度クレート内でおもらしすると、ニオイが残るので二度、三度とするようになってしまいます。
9時ー5時の犬 |
家族全員が昼間家を空ける場合、出勤前に幼い子犬をクレートに入れて夜までそのままに しておくのは、やはり問題を残すと思います。 先にも書いたように、子犬は長時間トイレをがまんできないので、クレートの中でもらしてしまうからです。
私の知人は夫婦共働きですが、彼らの犬(黒ラブ)が子犬だったころ、パピーウォーカー(子犬のお守り)を頼んでいたそうです。
ウォーカーは、日中家に来て子犬をクレートから出し、トイレをさせます。エサと水を与え、散歩に 連れだし、子犬と充分遊んでからまたクレートにもどします。時間にして大体一時間くらいです。ウォーカーによっては、植物に水をあげたり、ほかにも猫など のペットがいるときはその世話もやってくれる場合があります。学生や定年退職して時間に余裕のある人などが、アルバイトでパピーウォーカーをひきうけて くれます。友人や、近所の犬好きな人に頼むのも、いい方法だと思います。
さらにその知人夫婦は、出勤前と帰宅後に、子犬を散歩に出したり、ボールで遊んだりして
できるだけ子犬と過ごす時間をつくったそうです。犬が大きくなると、トイレも長時間我慢できるし、お留守番にも慣れるので、ウォーカーはいらなく
なります。彼らは、
「クレートのおかげで安心して家をあとにできるし、犬のしつけが楽だった」
と言っていました。
まあ、クレートがなくても犬は飼えます。が、飼い主の都合で犬をケンネルに預けなければいけないときとか、犬が病気や怪我で入院するときなど、クレートに慣れていないと困るときというのがあります。そういう「いざという時」の ためにも、上手にトレーニングしてクレートに慣れさせてあげたいものです。
参考:A SECURE DOG IS A HAPPIER DOG, USE A CRATE/Nicki Meyer Educational Effort Inc.
(2000年11月26日)
Copyright 2000 to Infinity, superpuppy.ca