野ウサギ対策

野ウサギ
困ったちゃん

芝生の上をピョコピョコはねる野ウサギを見て「わあ、カワイイ!」と喜んでいたのは昔の話。野ウサギがとんでもない破壊屋であることを知ったのは、アメリカからカナダに帰ってきてすぐのことでした。もともとは農地だったのを住宅地に開拓したこのあたりは、緑がここかしこに残り、野生動物がいまだに住んでいます。様々な鳥、野ウサギ、スカンク、さらにムースまでが、住宅街にあらわれます。しかしこの野ウサギ、旺盛な食欲であらゆる植物を食べつくすのです。

野ウサギにやられない植物というのはまず存在せず、芝生から園芸植物、家庭菜園の野菜、ハーブ、なんでも食べ放題。トゲだらけの薔薇まで、一晩で根元まできれいに食べられてしまいました。うちのお隣はウサギ対策として衣類の防虫剤を庭に置いたり、動物よけのスプレーをまいたりしたそうですが、全くダメ。ニオイの強いマリーゴールドまで、きれいに食べられてしまう始末。とくに園芸店から買ってきて植えたばかりの若い植物は好みのようで、あっという間に根こそぎ持っていかれてしまいます。お隣の奥さんは「ウサギに食べさせるために花を買ってきて植えてるみたいで、バカバカしくって」と困り果てていました。

私達も最初の年は、かなりの被害を出しました。新しく植えた薔薇は全滅、野菜は食べつくされ、新しく植えた200個のクロッカスはリスに全て掘り起こされ…。アメリカでも野生動物は生息してたけど、こんなに庭を荒らされたことはありませんでした。よく考えてみると、アメリカではこうした小動物の天敵が近所にたくさんいたのです。ブラック・ベア、ガラガラ蛇、キツネ、コヨーテ、アメリカン・イーグルなどが常に野ウサギやリスをオヤツにしていたため、庭荒らしが問題になるほど人口が増えなかったのでしょう。しかし、カナダのこの界隈にはそうした天敵がいないため、野ウサギ人口が爆発しているのです。

そこで翌年から、野ウサギにやられないガーデニングに挑戦しました。

まず、このあたりの野ウサギは小さく跳躍力もそれほどではないので、「高さのあるガーデン」を目指すことに。春から夏にかけて、花類はハンギング・バスケットやウィンドウ・ボックス、高さのあるプランターに。試験的に様々な高さのものを使ってみたところ、高さが約60センチ以上あればウサギにやられないことがわかりました。

ウィンドウボックス
ウィンドウ・ボックス

家庭菜園は、ボックス型の菜園に足をとりつけてテーブル型にし、ちょうど大人が立ったまま菜園の手入れができる高さに。こうすることで水はけが良くなるだけでなく、ウサギが野菜を荒らすことを完全に防ぎます。

しかし小さいということは、どんな隙間もくぐり抜けるということ。うちの庭は、丈夫な金属製の金網フェンスで囲まれていますが、この4センチほどの金網を野ウサギは簡単に潜り抜けてしまします。そうやって彼らは、どこへでも自由に行き来しているのです。そこで、その金網フェンスの隙間を防ぐことに。 フェンスに差し込むリボン状のPrivacy Slatsをフェンス専門店で購入し、設置しました。

さらに、若い植物を植えた庭はチキン・ワイヤーで囲んでウサギが侵入できないようにしました。チキン・ワイヤーは鶏小屋に使われる金網で、隙間が細かいのでウサギやスカンク、リスなどがくぐり抜け出来ません。これでぐるりと囲むと見た目は良くないけど、とりあえず被害は少なくなります。宿根草がある程度大きくなれば、ウサギに全滅させられることもないので、ワイヤーをはずすことも可能です。このワイヤーを取り付ける時の注意点は、ワイヤーの下端を最低でも20センチくらいは地面に埋めること。ウサギが地面を掘って侵入することを防ぐためです。

他にもいろいろと野ウサギ対策はあり、住んでいる環境とウサギの種類によって効果があるものとそれほどでもないものがあるようです。いろいろ調べたり聞かされたりしたなかで、私達が手を出さなかった方法もあります。

一つは、毒のある植物を植えるということ。フォックスグローブなどです。これはウサギだけでなく鹿やその他の動物の被害を防ぐことができますが、しかし、うちでは犬を飼っているし、動物に毒であるということはほとんどの場合、人間にも毒であるということ。そういうものを植えるのは私達の趣味ではないので、やりませんでした。

もう一つは、ウサギやその他小動物を殺したことのある猫のトイレを庭にまくという方法。うちでは家庭菜園の他にもハーブや花なども食べられるものを中心に育てているので、猫のトイレをまくというのはちょっと…。

さらに、キャットニップなど猫の好む植物を植えて、たくさんの猫が出入りできるようにするという方法。猫には昔さんざん苦労をしたので(花壇をトイレとして使われたり)、わざわざ招待するつもりは全くありません。

まあ最終的には、野生動物用のワナをしかけてどんどん殺していく、という方法しかないようですが、そんなことをしたところですぐにウサギ人口はもどってしまいます。ある程度の被害は仕方がないとあきらめ、できる範囲の防止法をとってガーデンを楽しむほうが、私達には合っていると思っています。

(2010年9月25日)

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