それでもあなたはフードを買いますか?

paw3.gif (869 bytes) 共食いはまずいんじゃないの

"Dog eat dog" という表現がある。
直訳すると、「犬が犬を食う」
われがちの争い、仲間同士の傷つけ合いという意味だ。日本のお受験や、会社の出世争いなどはまさにこれだ。

自然界では、犬の同族間の共食いはあるかもしれない。何でも食べなければ餓死してしまうきびしい世界だからだ。
しかし、ペットの犬も毎日共食いして生き延びている、と言ったら?

アメリカやカナダの動物病院や動物収容所で安楽死となったペットの犬猫が処理工場で肉塊にされ、ペットフードの材料にされていることが明るみに出て久しい。
そんなバカな、と一笑に付す前に、Ann Martin のレポート "Does Your Dog Food Bark?" (TABIママによる日本語訳はこちら)を読んでみて欲しい。

カナダ人の友人にこの話をしたところ、
「うちの犬がよその犬猫の肉を食べてるなんて、考えただけで寒気がする」
と顔をしかめていた。たいていの人はそう思うだろう。

私は個人的には、共食い自体はそれほど不自然だと思わない。
犬というのは Scavenger 、すなわち「腐肉を食らうもの」と呼ばれる動物である。墓場やゴミ置場のカラスのように、死骸だろうがゴミだろうが何でも食えるものは口にして生きていくたくましい生き物だ。
必要とあらば共食いだってするだろう。

しかし、問題は食べてるものの質の悪さだ。
処理工場では、病気で死んだペット(ノミとりカラーや名札もいっしょくた)や家畜、スーパーの賞味期限切れの肉(それもラップやトレイごと)、その他ありとあらゆる廃棄物がごった煮にされる。その様子は、Keith Woods のレポート"The Dark Side of Recycling" に詳しい。

汚染された肉だけでなく、プラスティックや重金属の混じったごった煮。
そんなものでも、きれいなパッケージで包装されるとアラ不思議、「バランス栄養食」として店頭に並べられるのだ。しかし、それを食べ続けて犬が健康で長生きできるかどうか?

paw3.gif (869 bytes) かわいいポチに毒を盛る

さらに、ペットの犬猫がフードの原材料となる場合問題なのは、ペントバルビタールの残留だ。

ペントバルビタール(成分名ペントバルビタールナトリウム)は、家畜やペットの鎮静剤・麻酔剤として、また致死量を静脈内注射して安楽死させるために使用する薬品である。
アメリカやカナダの動物病院では、この薬品を使ってペットを安楽死させる。動物収容施設でも、致死処分に使うのはこの薬品だ。

この薬品は、妊娠動物に使用すると胎児へ移行し死産・流産を引き起こすことがあると言われる。
また家畜に使用した場合、一定の休薬期間を経過しないと食用に給する目的で出荷することはできない。
つまり、この薬品は動物の体内に長時間残留し、体外に排出されるまで分解されないのだ。

安楽死や致死処分になったペットの犬猫は、この薬が体内に残留したまま処理工場へ運ばれ工場で煮られる。フードに化けた犬猫の肉塊のなれの果てには、ペントバルビタールが残留している。
高濃度にペントバルビタールが残留しているフードを食べたペットが、急性中毒を起こして死に至っても不思議ではない。

paw3.gif (869 bytes) あてにならない国の安全基準

そんなことが実際にあるわけがない、という人は Allman Report "What's getting into your pets?" Part 1 Part 2 Part 3 Part 4 を読んでみよう。
アメリカ・セントルイスのテレビ局KMOVのレポーター、Jamie Allman は2001年秋からずっとペットフード疑惑を追いかけている。第一回が放送されるやいなや視聴者から大反響を呼び、波紋はアメリカのみならずカナダへも広がった。番組では、犬猫の死骸が収容施設からトラックで処理工場へ運ばれる様子も出た。

行政は一体何をしてるのか、という一般市民からの驚きと怒りの声が大きかったため、国側があわてふためいて隠蔽工作をはかろうと悪戦苦闘しているぶざまな姿も、このレポートから読み取れてこっけいである。
お上のすることには間違いがない、国が安全だと言うものなら安全だ、と信じている素直な方々には申し訳ないが、世の中正直者ばかりではないということだ。

じゃあどうしたらいいの?という声が聞こえてきそうだが、簡単なことだ。市販のフードときっぱり縁を切ることである。
手作りというと手間がかかるとか、材料を揃えなくちゃ、とか思うかもしれないが、そんなに難しいことではない。夕飯の仕度をしながら、ちょっと余分にご飯を炊いたり魚を焼いたりして、調味料を入れる前に犬の分をとりわけ、さましてから犬にあげるだけで充分なのだ。これなら、自分の犬のお腹におさまるものが一体何でできているのか、一目瞭然だ。

ドッグフードが一般的になる以前は、どこの家でもそうやって犬を食べさせてきた。もっと粗末な残飯しかもらえない犬でも、元気に長生きしていた。
我が家の愛犬も、子犬のときからそんな食餌だが、持病もなく元気一杯の毎日だ。あなたもかわいい愛犬のために、よーく考えてみよう。

(2002年1月4日)

Does Your Dog Food Bark?へ

banner ホームへTABIのキッチントップへ

Copyright 2000 to Infinity, superpuppy.ca