シロップのできるまで

シュガーキャンプに至る道の両脇は、どこまでも続く砂糖カエデの森だ。

樹液採集方法は、今ではずっと近代的になっている。木の幹に穴を開け、そこにチューブを差し込む。流れる樹液は、樹々の間を渡る太いパイプの中を流れてはるばるキャンプまで運ばれる。樹液が最もたくさんとれるのは、夜間の気温がマイナス5度以下で、日中暖かく日が差し、少し風がある日だそうだ。

mapletrees

道の行き止まりにキャンプが見える。
森の中にポツンと一軒だけの、小さな小屋。キャンプのそばを流れる清流が、水源だ。樹液採集とシロップ製造をする早春の時期のみ、従業員が交代でここで作業をする。ピーク時には、夜昼の区別なく樹液を煮詰める。夜は樹液は流れないが、樹液タンクは次の日のためにカラにしなければいけないからだ。小屋の右手に見えるのは、除雪車。

mapleshack

 

パイプを流れる樹液は、キャンプの地下にあるシロップ工場の、この丸いドラムに貯まる。ドラムは真空ポンプになっていて、パイプの中の樹液がスムーズにキャンプまで流れるのに都合よくできている。樹液がドラムの半分(約15ガロン=約57リットル)までくると、その下に設置したタンクに流れる。

saptank

銭湯の湯船ほどある大きなステンレスのタンクに樹液が流れる瞬間。

sap

 

樹液はさらに、逆浸透方式と呼ばれる方法で水分を半分にまで減らす。旧式の煮詰めるやり方に比べると、時間とエネルギーの節約になり、さらに香りも逃がさないそうだ。

逆浸透方式とは何か?まず、浸透という現象を見てみよう。キュウリに塩をかけて漬物樽に並べておくと、キュウリがしんなりして水が出てくる。これは、キュウリの皮を通して、濃度の濃い塩水の側に濃度の薄いキュウリの水分が浸透するためにおこる。逆浸透は、この逆。濃度の高い側に圧力を加えることにより、濃い液体は濃縮され、膜の反対側に水分が増える。こうした方法で水分を分離することを、逆浸透方式という。写真がその逆浸透の機械。

reverseosmosis

 

水分を減らした樹液は、不純物をとるために綿の袋でこす。

feltfilter

こされた樹液は、このステンレスの釜で煮詰める。

boiler

ここまででかなり煮詰まった樹液だが、さらにこの釜で水分をとばす。この釜はちょっと、おでん屋さんの鍋みたいだ。この段階の樹液をなめさせてもらったが、ほんのり甘くて完成品に近い。色も琥珀色だ。

 

syrup

さらに不純物をこすために、16枚のろ過シートを通す。左手に見える蛇口を開くと流れるのは、できたてほやほやのシロップだ。大きなスプーンで味見させてもらった。絶品!!

paperfilter

(2001年6月7日)

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