スキージョアリング
(2006年3月11日)

jimmy_liliy

paw4.gif (869 bytes)犬と楽しむスキー

冬に犬と楽しめるスポーツといえば、犬ぞりとスキージョアリング。犬ぞりはそりが必要だし、犬も多頭いないとできない。が、スキージョアリングはクロスカントリー・スキーとハーネスなどの多少の装具があれば、雪山でいつでも楽しめる。アジリティのオフ・シーズンにTABIと楽しむのに最適と考え、スキージョアリングの講習に参加してみた。

場所は、比較的新しいスキー・リゾート。ダウンヒル、クロスカントリー、スノーボードなど様々なウィンター・スポーツが楽しめる。レストラン、スポーツ用品レンタルも充実している。瀟洒なシーダーハウス風の宿泊施設も隣接しているが、残念なことにペット宿泊は禁止だ。従って、私たちは車で30分ほど離れた街のホテルに滞在することにした。

講習当日の朝、まずは暖炉のある会議場に参加者が集まり、スキージョアリングの概要について講師から説明を受ける。講師は愛犬のJIMMY(アラスカン・ハスキー)を連れてきた。ジョージア州出身の彼女は、犬ぞり犬ファームを夫とともに経営している。

tracie
講師のTracie

スキージョアリングとは、 スキーヤーがクロスカントリー・スキーしながら犬と走る、新しいウィンター・スポーツである。散歩中にいつもリードを引っ張るので叱られてばかりいる犬にとっては、「どんどん先に行ってもいいんだあ、ヤッホー!」なスポーツだ。もちろん、やみくもに犬をくっつけて走ればいいというものでなく、やはり安全性に注意して適当な装具を身につけ、それなりに犬と練習する必要がある。そうでないと、スキーの先端やエッジで犬に大怪我をさせてしまう可能性がある。

クロスカントリーには二種類あり、昔ながらのキック・アンド・グライドと呼ばれる、基本的には歩くように滑るスキーがひとつ。もうひとつは競技用のスケート・スキーと呼ばれるもので、整備されたトレイルをどんどんスピードを出して滑るのに適している。趣味でやるなら前者で十分だ。スキージョアリング競技の参加を目指しているなら、競技用スキーが必要だろう。どちらにせよ、金属製のエッジのついたスキーは犬に怪我をさせやすいので止めたほうがいいそうだ。

さて、スキーヤーのスキーの腕前はというと、「最低でも中級クラスであること」だとか。滑りながらバランスをとることができないと、犬に引っ張られながらトレイルを進むことができないし、転倒した際に犬とともに怪我してしまうことがある。それに転ぶたびに止まっていたのでは、犬も飽きてしまう。ドキ!ヤバイ。TABIパパはそこそこクロカンの経験がある程度だし、ママにいたってはダウンヒルは昔やったがクロカンはつい最近始めたばかり。だけどTABIはあまり引っ張るタイプじゃないので、そろそろ練習すれば大丈夫だろう、とのこと。全くのクロカン初心者は、まず犬なしでじっくりスキーの練習をする必要があるそうだ。

肝心の犬だが、健康な中型以上の犬なら犬種にかかわらずOKとのこと。もちろんハスキー系は天然だが、それ以外でも上手に練習すればスキージョアリングを楽しめるようになる。ごく少数「どーしてもやりたくない!」という犬はもちろんいるわけで、そういう場合はあきらめて他のことを試せばいいのだ。またどんな犬スポーツにも共通することだが、成長途中にある子犬には重いものを引っ張らせてはならない。本格的にスキージョアリングを楽しむには、犬が大きくなるのを待つべきである。

凍った雪で犬の足を傷つけないよう、ブーティー(犬用ブーツ)や雪玉防止ワックスを使うのは犬ぞりと同じだ。足裏の毛を剃るのも役立つ。

今回のクラスには、地元の新聞記者とカメラマンが取材に来ていた。記者はアウトドア系の記事を連載しているそうで、愛犬と一緒にクラスに参加することにしたという。カメラマンは、TABIのブーティー姿が気に入ったようで、さかんにカメラを向けていた。

jimmy_writer
新聞記者にごあいさつするJIMMY

JIMMYはハスキーなのに犬そりやスキージョアリングにそれほど執着しない性分とのこと。講師がハーネスの装着方法を説明しようとしたところ、ハーネスを見たとたんJIMMYは「ヤバイ!」という顔をしてそそくさと逃げ出してしまった(爆)。参加者のテーブルの下に隠れた彼は、連れ戻されて渋々モデル役を引き受ける。

スキージョアリングで使うコマンドは、犬ぞりのマッシャーが使うものと同じ。しかし趣味でやるなら普段使っているコマンドで十分だ。アジリティ犬ならGeeHawのかわりに方向コマンドを使ってもよい。

講義が終わり、外に出て犬を車から出し、駐車場で実際に装具を見につける。装具は貸してもらえる。たくさんあるハーネスの中から、自分の犬にあったサイズを探し、装着してみる。これは 首と腕回りにパッドがついている犬そり用ハーネス(Xバックと呼ぶ)で、犬がひっぱりやすいようにできており、散歩用ハーネスやシートベルト・ハーネス、フライボール・ハーネスなどとは若干異なる。が、装着方法はどれも同じで、頭にくぐらせたあと片足ずつ輪をくぐらせれば完成。

jimmy
モデルはJIMMY

5頭の参加犬はTABIを含めほとんどが雑種、1頭だけ大柄なチョコラブがいた。みな体重60ポンド級以上で、40ポンドのTABIはこじんまりとして見える。体重180ポンドのパパをひっぱれるのだろうか。先行きが不安。

さて、スキーヤーはスキージョアリング用のベルトを装着する。腰を保護するために広幅のかなりしっかりしたベルトになっていて、ストラップを足にくぐらせるタイプとストラップなしがある。TABIパパが借りたのはストラップ付きだが、これは犬にぐいぐい引っ張られてベルトがずれないためのものだ。おとなしい犬の場合は、ストラップなしで十分とのこと。

パパ
モデルはTABIパパ
(この雪の中、ジーパンでスキーやってるのはこいつだけ)

このベルトにトウ・ロープをつける。次に、このロープを犬のハーネスにつける。8フィートほどの長さのロープはバンジーコードでできていて、急激な牽引のショックを緩和するようになっている。下の写真は、トウ・ロープとベルトのつなぎ目。金色のがセーフティー・リリースで、転倒しそうになったときなどこれを引っ張るとロープがはずれ、スキーの先端で犬を傷つけるような事態にならないようにできている。

セーフティー

装具の準備ができたら、トレイルに出る前にまず、犬をスキーヤーの前に位置させる練習をする。TABIママが先頭になり、クッキーやオモチャでTABIを誘導し、TABIパパがスピードに気をつけながらすべる。服従訓練がバッチリ入った犬は、やはりスキーヤーの左側に位置しがちで、なかなか先頭に行きたがらない。これではスキーヤーが犬をひっぱることになってしまい、難儀である。初めのうちはどうしてもパパの横を走りたがったTABIだが、次第に事の次第がのみこめてきた模様。服従訓練が入ってなくてリードをがんがん引っ張るタイプの犬は、すでに「ヤッホ〜!」ってかんじでひっぱりはじめ、準備万端。ハスキー系雑種犬もやはり天然で、スキーヤーの方がスピードに慣れるのに苦労している。

20分ほど練習したところで、実際にトレイルに出る。「ウンチは必ず拾って持ち帰ってね!」と、講師から注意を受ける。

犬グソ看板
この施設には無料ウンチ袋が設置してあり、
トレイルはどこもウンチなしできれい

他のスキーヤーもいるので、迷惑にならないように一組ずつ出発。みんな速い!スキーは競技会レベルだ。よく見ると、彼らのスキーはクロスカントリー競技用で、スケートの要領ですべりながらガンガン行っている。講師を含めた3組は、あっという間に森の向こうへ去り、米粒大になってしまった。あとに残った私たちは、マイペースで進むことに。

「トレイルではブーティーは脱がせていこう」
というTABIパパの指示で、裸足で出発したTABI。前の晩に足裏の毛をきれいに剃ったし、大丈夫かもと思った。が、3分もしないうちに足の裏に雪玉ができ、走れなくなってしまった。仕方なく、またブーティーを装着。練習のときと同じくママが先頭に立ち、TABIとパパがあとを追う。だんだんひっぱる面白さがわかってきたようだが、いかんせんパパが重すぎて次第にTABIのスピードがダウン。パパの横を走るどころか歩くようになってしまった。

パパとTABI
パパ重すぎだよ〜、エ〜ン(涙)

かわいそうなので、トレイルを一周してウンチ休憩したあと、今度はママにTABIをくっつけてみた。さらに、ブーティーを脱がせて足をふき、雪玉防止ワックスをたっぷり塗って出発。大成功!今度はTABI、走る走る!先頭を行くパパを追って、ガンガン行きたがるTABIを制止するのに一苦労。ママのクロカンの腕前では、そのスピードについていけないのだ。ごめんね、TABI、ママのスキーがうまくなるまで我慢してね。

ママとTABI
ヤッホ〜、ママは軽々!

お昼にクラスは終了。トレイルの入り口にみな集まって「どうだった?」「なかなか難しいね〜」などと語り合う。やはりスキーヤーの腕前と、犬のやる気が関連するようだ。初日からバッチグーの犬もいたが、「ハーネスなしで走りたいよー」タイプの犬もいたことは確か。だけど雪が好き、走るのが好きな犬なら、慣れるにつれて上手にひっぱることができるようになるらしい。どちらにしろ犬たちは、雪の中でたっぷり遊んでみんなニコニコ顔だ。

paw4.gif (869 bytes)グルメなランチと温泉

午前中たっぷり運動したので、私たちはお腹ペコペコ。駐車場の車にもどってスキーをかたずけ、TABIにご飯と水をあげたあと、レストランで昼食にする。TABIは車でお昼寝。

こだわりシェフのいるこのレストランは普段は予約が必要だが、今回はランチ・タイムのせいか席がいくつか空いていた。客はみな、ここに泊まってスキーを楽しんでいるっぽい年配の裕福層。有機野菜や新鮮な魚肉を使ったメニューは、そんな客を満足させそうなグルメな品々でいっぱい。とりあえず冷たい水をいただき、地元で焙煎したコーヒーを味わいながら何を食べるか考える。ヨーロッパの山小屋風の内装は落ち着いた雰囲気で、大きな窓から見える雪山の景色は息を呑む美しさだ。

レストラン
一幅の絵のような景色

パパはいつもお得意のシーザーサラダとBLT(ベーコン、レタス、トマト)サンド、ママは今日のシェフのおすすめ、まぐろステーキのサンドイッチ。こんな山の中で、どうやってまぐろを手に入れたのか?ま、でも美味しかった。ただドレッシングの唐辛子が利きすぎ、泣きながらサラダを食べる。

サラダ まぐろ サンド
左から、シーザーサラダ、まぐろステーキ・サンド、BLTサンド

お腹いっぱい、幸せいっぱい。だがすでにママは筋肉痛だ。車で一時間ほど行ったところに温泉があるという情報を得たので、行ってみることに。美しい雪景色の中を走っていくと、街がどんどんさびれてくる。こんなところに本当に温泉があるのか?と不安になったころ、「Hot Springs」の看板が。駐車場に車を止め外に出ると、受付のある母屋からピンク色の顔をした家族連れが出てくるところだった。「いい湯だったな〜」という顔をしている。

温泉
温泉の母屋

ここは硫黄泉で、おなじみの卵の腐ったニオイがたちこめている。受付で聞くと「まず見学してもいいですよ」とのことなので、中を見学する。1864年開業のここには露天風呂を含め24のお風呂と、個人用貸切風呂がある。個人用の他は、一日パスでどこでも好きなだけ入り放題、タオルやサンダルも有料で借りられる。混浴だが、日本の温泉と違い裸では入浴禁止なので水着が必要だが、受付で借りることもできる。私たちも水着を持ってきてなかったので、借りることにする。TABIは、車でお留守番。

春休みの初めなので、家族連れがいっぱい。とりあえずパパと二人、空いてる露天風呂に入る。ぬるい!日本の温泉と比べたら、まるで水プールだ。外は雪が積もってるのにこれじゃあ…。次に、温泉が滝のように流れてくる方へ行ってみる。こちらはややあたたかい。行者のように滝に打たれていると、筋肉痛も和らぐ。だけどやっぱ寒い。建物内の風呂に移動。これも日本のに比べたらぬるいが、風が吹いてこないだけ快適。ミネラルウォーターを飲みながら、出たり入ったりして2時間もつかっただろうか。窓から雪景色を見ながら、完全リラックス。

更衣室にはシャワーもあるが、「ここの温泉は皮膚にも髪にもいいので洗い流さなくても大丈夫」と言われたので、タオルで水分をふくだけにする。体中が硫黄のニオイでプンプンだが、ホテルに帰ったらご飯食べて寝るだけだし。車に戻るころにはあたりが薄暗くなっていたが、体中がポカポカしてちっとも寒くない。TABIは、車から飛び降りるとすごい勢いで私たちをクンクン嗅ぎ始めた。やっぱ臭いのか。

だけどお肌がツルツル!やっぱ温泉は効くのだ。スキーも温泉も楽しかった。TABIも、犬友達ができて楽しかったよね。また来よう。

(2006331日)

banner ホームへドッグスポーツトップへ

Copyright 2000 to Infinity, superpuppy.ca