トライプ
〜犬泣いて喜ぶ〜

トライプ

 

トライプとは、牛・羊・鹿・山羊など反芻動物の第4胃のこと。犬の健康食として、イギリスでは昔から有名なのだそうだ。イギリスからカナダに移住してきた人や、イギリスのブリーダーから犬を輸入した人はみな、トライプ探しに奔走する。カナダ人は内臓類をあまり食べないから、手に入れるのが大変なのだ。

日本では牛の胃(ミノ、センマイ、ハチノス、アカセン)が焼き鳥に登場するし、スコットランドには羊の胃を使った名物料理、ハギスがある。タイタニック号の晩餐メニューにも、Tripe の記載が見られる。ただしこれは二等クラスのメニューで、上流階級の方々はこういうものは召し上がらなかったらしい。

一般のスーパーの食肉部門ではまず売っていないが、イギリス系の肉屋などでトライプをたまに見かける。が、人間用のトライプはすでに洗浄・調理・漂白してあり、これを犬にあげても トライプ効果は期待できない。缶詰のトライプも同様である。生でなければ意味がない。

生のトライプは俗にグリーン・トライプと呼ばれる。色が緑なのではなく、「加工していない」という意味だ。色は画像のようにグレーがかった肉色、というのが普通。これがまたものすごく臭い!真夏の牛小屋のニオイというか、牛糞そのまんまというか。しかし、犬はこれが大好物なのだ。トライプを嫌いな犬に出会ったことがない。TABIも、トライプの日は狂喜乱舞する。

なぜ犬がこんなにもトライプを好きなのか?トライプが犬の健康に良いと言われるのはなぜか?

反芻動物が食べ物を消化する過程を見てみよう。まず、食べ物は第1胃に入り、胃の中の微生物によって分解される。草を食べてもそのままでは動物はセルロースを分解することはできないが、微生物の働きで発酵し栄養素として吸収できるように変化する。さらに、食べ物は口に戻ったり胃に戻ったりしながら第2・第3 胃を通過してすりつぶされ、第4胃に到達する。第4胃は、胃が一つしかない動物の胃と同様に胃液を分泌し、食べ物をさらに細かく消化する。

この第4胃を内容物ごときざんだものが、グリーントライプだ。これは消化液や消化酵素、消化を助けるプロバイオティクス・乳酸菌(Lactobacillus Acidophilusを含む。これらは、犬が食べ物を消化吸収するのに欠かせないものばかりだ。野生では 、犬は獲物を消化器官ごと食べることでこうしたものを体内に取り入れることができるが、ペット犬はそれができない。トライプをあげることで、そのかわりになる。犬はおそらく本能で、トライプには自分に必要な成分が含まれていることを知っているのだろう。だから、喜んで食べる。 

もちろんこうした効果を期待するには、生でなければならず、調理したものでは意味がない。

トライプは他にも、蛋白質・繊維・カルシウムなどを含む。詳しい分析はこちらへ。

カナダでは入手が難しく、屠殺場に頼んでとってもらうか、犬用に冷凍されたものを買うしかない。大型犬を多頭飼いしている人は屠殺場からドラム缶でまとめ買いし、一日がかりでパック詰めしていたりする。ものすごいニオイで気が遠くなるそうだ。

我が家はそんな根性がないので、Urban Carnivoire の冷凍パックを買っている。すでにカットされ、8オンスずつにまとめてあるので、冷凍庫から出してタッパーに入れ、冷蔵庫で一日解凍してから食べさせる。TABIにはだいたい1個で充分夕飯になる。週に一度くらいの頻度であげている。

さてトライプの健康効果だが、うちの犬はもともと健康優良犬なのでとくに変化は見られない。が、いつも快便なのは確かだ。よその犬では、いろいろな慢性疾患をわずらっていた犬が徐々に健康をとりもどした話などを聞くことがある。また、毛づやが良くなる、お腹が弱めの子が丈夫になった、などという犬飼いもいる。オナラの回数が減ったとか、フン食いがおさまったという話も聞いたことがあるが、それがトライプの効果かどうかはわからない。ただ、成分からいって消化器系に良いことは間違いないだろう。

とてつもない臭みのため、「愛犬にトライプを食べさせるのはよっぽどの犬馬鹿」とも言われる(爆)。確かに、「トライプが良いのはわかってるし、うちの子が大好きなんだけど、あのニオイが我慢できなくて...」と告白する犬飼いは多い。でも目を丸くしてがっつく犬を見てると、かわいくてついまたオーダーしてしまうのよね。あなたもチャンスがあったら、愛犬にトライプはいかが。

参考: http://www.greentripe.com/

(2004年10月24日)

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