子犬か成犬か

初めて飼う犬。
子犬にするか、成犬にするか?最終的には好みの問題だが、それぞれ利点・難点がある。

paw2.gif (869 bytes)子犬がいい?

まず、子犬は可愛い。どんなおへちゃな顔でも、大きな瞳、丸々した体、よちよち歩き…もう食べたいくらい可愛い。
動物の赤ちゃんというのはみんな可愛い。見る側に「可愛いな、守ってやりたい」という感情を呼び起こさなければ、生き残るのが難しいからだ。

子犬を連れていると、スターになれる。
「可愛い〜、さわらせて」
と、みんな寄ってくる。ステージママになった気分だ。お友達がたくさんできる。

しかし。
子犬は天使の顔をした悪魔だ。
手当たり次第に何でも噛む。トイレの躾が完了するまでは、そこらじゅうにオシッコ・ウンチをする。夜泣きする子犬もいる。好きなときに寝て、好きなときに起き、こちらの都合なんて考えず「遊ぼうよ」と誘う。
世話する方は、肉体的にも精神的にもへとへとなのに、子犬は知らん顔で丸々と肥えてゆく。

大型犬だと生後半年くらいでかなりの大きさに成長するが、アタマの中はまだ赤ん坊である。
小さな子供に飛びついて突き飛ばしてしまうことがある。
笑い話ですめばいいが、危険なことが多い。
生後4ヶ月のラブラドールの子犬が、やはり生後4ヶ月の子羊をかみ殺した事件があった。
お互い赤ん坊なので、遊んでいるうちに体のでかいラブが子羊の首をくわえてふりまわし、噛んでいるうちに子羊を殺してしまったらしい。ラブにしてみれば、
「悪気はないんだけど、ついやっちゃった」
ということだろう。しかし、子羊にとっては災難である。
母羊はどう思ったか知らないが、これが人間の子供だったらえらいことだ。

そういった様々な苦労を笑ってすませられるか?ひとさまに迷惑をかけないよう、きちんと躾ができるか?
子犬を飼うには、そういう覚悟がいる。

paw2.gif (869 bytes)成犬がいい?

大人の犬はどうか?

生後2年までは子犬なのだそうだが、まあ生後1年を過ぎたら大体成長が落ちつくし、性格も決まってくると思う。エサも成犬用だ。
子犬は将来の体の大きさとか性格の予測が完璧につかないが、成犬の場合は「見たまんま」である。子犬がオーダーメイドのドレスなら、成犬はブティックで飾ってあるのを買うようなものだ。

「子供好きなフレンドリーな犬が欲しい」
「番犬としてよく吠える、強面のオス犬が欲しい」
など、はっきりした好みがあるなら、いろいろ見て選べばいい。第一印象でだいたいわかる。

また、トイレの躾はできているから、気が楽だ。
それに、例えば盲導犬などの介助犬を引退した成犬は、基本的な躾がしっかりできているので、躾で苦労することはない。
犬レースを引退したグレイハウンドなどは、リードでおとなしく散歩する訓練ができているので、引っ張って困る、などという問題が一切ない。

だが問題なのは、成犬は前の飼い主がしでかした過ちをそっくりそのまま持ってくる可能性が高いことだ。
例えば、新聞紙を丸めたもので引っ叩かれていた犬は、新聞紙や雑誌類を異様に怖がり、吠えたり噛みついたりすることがある。はきだめのような不衛生な場所で飼われていた犬は、そこらじゅうにオシッコをする。
まともにエサをもらえず、しょっちゅう盗み食いしていた犬は、新しい飼い主がいくら充分エサをやっても盗み食いがなかなか治らない。

また、引退した使役犬の場合はほとんどが老齢であり、老犬特有の持病を持っていることがある。
関節炎・白内障・難聴などだ。その介護は飼い主のあなたの責任である。
犬レース引退犬は比較的若い(4〜6歳)が、過酷なレース犬生で体がガタガタ、という犬もいる。

さらに、すでに先住犬がいる場合、テリトリー争いが起こるのを覚悟しなければならない。
子犬を連れてくる場合は、たいてい先住犬がアルファになるため問題が少ないと言われる。
だがどちらも成犬のケースでは、予測が難しい。オス同士は当然のこと、メス同士でも喧嘩の末双方が重症をおった事例がある。

一般的にいって、初めて犬を飼うなら子犬よりも性格の良い成犬の方が苦労が少ない、と言われる。
しかし、よく自分の生活環境を考え、犬を観察してから決めたほうが、あとあと後悔しないだろう。

(2001年9月21日)

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