オスかメスか

人間は、犬を擬人化するのが好きだ。

「オスは雄々しくたくましく、気が強い。メスはやさしくて、育てやすい」
などと、ブリーダーでもそんな風に言っていることがある。

しかし、実際には犬の場合、そういったステレオタイプが必ずしもあてはまらないらしい。

確かに、体を流れるホルモンが違うのだから、性差はあるだろう。
一般的にオスの方がメスより体が大きい。
また、子犬を産んだばかりのメス犬は、よそ者に対してたいへん攻撃的になることがある。これは、子犬を天敵から守ろうとする本能である。
それに比較してオスはあっさりしたものだ。射精したら終わり。子犬の生まれるのが待ちきれなくて、パピーベッドを買いに行きワクワクしているオス犬というのはいない。
大体、「この子は俺の子」という意識があるかどうか?

また、オスは電信柱や消火栓、木などに足をあげてオシッコをする。これはマーキングと呼び、自分のテリトリーを示す行為である。自宅の庭の潅木などにもシャー、とやるので、園芸をやっている人はオス犬だと困るかもしれない。
さらに、未去勢のオスの場合、発情期のメスを求めて脱走し、何日も家を空けることがある。
無事に帰ってくればいいが、車にひかれてあの世に行ってしまうオスも多い。これは去勢することで解決するが、あまり年をとってからの去勢だともう習慣になっていて治らないことがある。

未去勢のメスの場合は、発情期の出血があるのでカーペットなどを汚すことがある。
またメスの発情のニオイにひかれたオス犬が家の周りにたくさん集まってくる。この期間はメス犬をしっかり隔離しないと、うっかり妊娠してしまったらただでさえあふれている犬人口を増加させ、廃棄犬として致死処分される犬をつくりだしてしまう。これも、去勢手術をすることで解決する。

そういった例を除くと、オスだから攻撃的でメスだからおとなしい、というようなステレオタイプは必ずしも当たっていないことがわかる。
私の周りを見ても、気が強く喧嘩っぱやいメスはごまんといる。テリトリー争いだって、何もオスに限ったことではない。メス同士の争いで、相手が死に至るまで激しく攻撃することだってある。

「わんパル」に登場するBUDDYは、若いころ近所のジャーマンシェパードのオスと犬相撲をとり、自分より大きな相手をひっくり返し喉元を押さえ、シェパードに「参った、降参」と言わせた経験がある。
以来そのシェパードは、彼女の下僕なのだそうだ(笑)

反対に、気の弱いオスも多い。
おっとりして気がやさしく、子供や子犬と喜んで遊ぶオスもいる。

犬を選ぶ際には、オスだから・メスだからという偏見を持たずに、その犬の個性をよく見極めて選ぶことが大切だと思う。
そして、どちらを飼うにしても、家庭犬として飼うのであれば早めに去勢することで問題行動を防ぐことができるのである。

(2001年9月21日)

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